経済指標好調でもビットコインとイーサリアムは堅調──リスク市場は利上げ織り込み済み
  • 新規失業保険申請件数は大幅に減少し、インフレ懸念が高まっている。
  • ビットコイン、イーサリアムなどのリスク市場では、雇用市場が好調継続でも比較的動揺は少なかった。

暗号通貨(仮想通貨)市場は、強固な労働市場の逼迫と予想外に力強い四半期経済成長を示す経済データにも動揺しなかった。

ビットコイン(BTC)は約3万500ドルで取引されており、過去24時間で1%以上上昇。イーサリアム(ETH)などほとんどの主要暗号資産もわずかに上昇している。各国の中央銀行が再び利上げを余儀なくされ、経済が景気後退に陥るのではないかと懸念する投資家には、インフレ懸念が重くのしかかっている。

29日に発表されたデータは、米連邦公開市場委員会(FOMC)がすでに表明したことに対する下準備的な理論的根拠として機能するが、単に事後的に出されたものだ。

経済成長が予想を上回る

第1四半期のアメリカGDP(国内総生産)は2%の伸び率で、予想の1.4%を上回った。一方、6月24日までの週の新規失業保険申請件数は2万6000件の減少となる23万9000件。2021年10月以来の大幅な減少となり、予想の26万5000件よりも良好だった。

これらのデータは、6月初旬に金利引き上げを一時停止していた連邦公開市場委員会(FOMC)が7月、再びタカ派姿勢を取ることに対する最新の証拠となるように思われる。

FOMCは2023年のピーク金利予想を5.1%から5.6%に引き上げ、年内にあと2回利上げすることを示唆。FRBのパウエル議長は最近の発言で、FOMCがさらに利上げする可能性があると述べた。

また、新規失業保険申請件数は予想よりも良好だったものの、4週間の平均件数である25万7500件はコンセンサス予想の25万1270件を上回った。移動平均は、個々の発表値で発生する可能性のある変動を平滑化するのに役立つ。

新規失業保険申請件数は総じて上昇傾向にあり、これはFOMCが切望する労働市場の緩和を示唆している。

市場は動じず

リスク市場の値動きは軒並み、経済指標の結果は折り込み済みであることを示しているようだ。29日のダウ平均、ナスダック総合指数、S&P500はいずれもこのニュースを無視して若干値上がりした。

ビットコインはここ1週間、横ばいの取引パターンに落ち着いており、3万ドルのサポートラインを超えた水準で値動きしている。

2023年4月にスタートしたビットコインの可視範囲出来高プロファイル(VRVP)は、3万ドル付近で取引量が多かった層が形成されていることを示している。取引量の多い層は、売買が拮抗していた領域を示しており、強力なサポートラインやレジスタンスラインと一致することが多い。

イーサリアムも同様の横ばいの取引パターンに落ち着いたが、勢いはビットコインほどではない。ビットコイン価格がサポートラインの上にある一方で、イーサリアムは1900ドル付近のレジスタンスラインに阻まれているようだ。パフォーマンスの違いは、イーサリアムと比較してビットコインへの資金流入が増加していることを示しており、主に機関投資家の関与が高まる可能性が背景にある。