イーサリアム強気に1000万ドルのオプション取引──下半期の上昇を期待

イーサリアム(ETH)は今年上半期の6カ月間で61%上昇した。イーサリアムが下半期も上昇する可能性に賭けて1000万ドル(約14億5000万円、1ドル145円換算)のオプション契約を購入した投資家もいる。

ブルコールスプレッド約6万3250枚分を購入

アンバーデータ(Amberdata)によると、ある投資家が1日、12月29日が満期となるイーサリアムの「ブルコールスプレッド」を約6万3250枚分(1枚=1ETH)、1000万ドルで購入した。ブルコールスプレッドはコールオプションの売りと買いを組み合わせた取引であり、この取引には2500ドルの権利行使価格でのコールオプションの売りと1900ドルの権利行使価格でのコールオプションの買いが含まれていた。

コールオプションの買いでは、プレミアムを支払って「権利行使価格である資産を購入する権利」を購入する。満期時のレートが権利行使価格を下回った場合には買う権利を放棄することになり、プレミアム分の損失が発生する。一方、コールオプションの売りでは、プレミアムを受け取って「権利行使価格である資産を購入する権利」を売却する。満期時のレートが権利行使価格を上回った場合、権利行使価格で資産を売却する義務が発生するため、損失となる。

コールオプションの売りで得たプレミアムがコールオプションの買いに対して支払うプレミアムに充当されたが、買いのプレミアムの方が多かったため差し引きで1000万ドル分の初期購入費用が発生している。

強気のエクスポージャー

アンバーデータのデリバティブ部門ディレクター、グレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は3日夜のニュースレターで、「イーサリアムで特筆すべき点は、12月に期限を迎える1900~2500ドルのコールスプレッドの正味支払い済みプレミアムが約1000万ドルと大規模になっていることだ」と述べた。

マガディーニ氏は、選ばれた権利行使価格からは、強気方向のエクスポージャーを持ちたい考えが読み取れると述べた。

ブルコールスプレッドは、損失と利益の幅を限定できるため、従来の金融商品でも仮想通貨でも人気がある。

このブルコールスプレッドは、イーサリアムの価格が上昇すると収益性が高くなるが、利益の可能性は二つの権利行使価格の差から初期購入費用を差し引いた金額に限定される。12月末にイーサリアムが1900ドル以下で取引される場合は損失となる。ただし、損失は支払った初期購入費用の範囲内に限定される。

このブルコールスプレッドを購入した投資家は、今後6カ月間でイーサリアム価格が徐々に上昇すると予想していることがわかる。

イーサリアム上昇との見方も

暗号資産データ追跡プラットフォームGreeks.Liveのパートナー兼アナリストであるチャン(Chang)氏はCoinDeskに対し、「ブルコールスプレッドは典型的なディレクショナル取引だ」とし、こうした戦略への関心の高まりは必ずしもイーサリアムの上昇を約束するものではないと述べた。一方、暗号資産サービスプロバイダーのマトリックスポート(Matrixport)は、イーサリアムは注目すべき上昇を遂げるとの見方を示した。

CoinDeskのデータによると、本記事執筆時点でイーサリアムは1966ドルで推移し、5月6日以来の高値となった。

マトリックスポートのリサーチ・戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、「(6月中旬の底値が続いた時期に)イーサリアムが1700ドルで取引されたときに買いシグナルが発生した。現在は1920ドルで価格は上昇しているが、さらに爆発的に上昇するチャンスが到来したと考えている」と述べた。イーサリアムがビットコインに追いつく可能性もあるという。

ビットコインは上半期に85%近く上昇し、ほかの多くのコインのパフォーマンスを大きく上回った。

オプション市場全体で見ると、イーサリアムとビットコイン(BTC)の両方で強気の傾向にあり、本記事執筆時点では短期と長期のコールプットのスキューはプラスとなっている。スキューは、弱気のプットに対するコールのコスト、つまり強気のセンチメントを示している。

|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:A $10M Options Bet on Ether Shows Positioning for a Bullish Second Half