暗号資産分析会社ナンセン(Nansen)が5日に発表したレポートによると、6月のNFTクリエイターへのロイヤリティ支払いは2年ぶりの最低水準に落ち込んだ。ロイヤリティ支払いは2022年4月にピークに達し、1週間でクリエイターに2万8000ETH(約95億円、1ドル125円換算)ドルが支払われた。一方、6月はピークの週でも、2000ETH(約5億5100万円、1ドル145円換算)にとどまった。
ここ数カ月間、ロイヤリティ支払いの義務化をめぐりマーケットプレイスとクリエイターの間の緊張が高まっている。
BlueとOpenSeaの対応でロイヤリティが減少
ロイヤリティ支払いが任意のマーケットプレイスBlurの台頭と大手マーケットプレイスのOpenSeaのポリシーによって、ロイヤリティ支払いの急激な減少が進んでいる。現在、OpenSeaでクリエイターへのロイヤリティ支払いを義務付けるには、コレクションのスマートコントラクトにオンチェーン強制メソッドを組み込む必要がある。組み込まなかった場合、ロイヤリティは出品するコレクターが最低0.5%から設定可能になる。一方、Blurは最低0.5%のロイヤリティを義務付けている。どちらの場合も、出品するコレクターが任意でクリエイターのロイヤリティを高く設定することはできるが、一般的ではないようだ。
ナンセンのアナリスト、ハビエル・セルダン(Javier Cerdan)氏とエドワード・ウィルソン(Edward Wilson)氏はCoinDeskに対し、この競争では二つのマーケットプレイスが取引を奨励しつつロイヤリティの支払いを低く抑えるために競い合っていると指摘した。
「ロイヤリティは2月以来減少しており、BlurはOpenSeaと同等にするために支払われたロイヤリティの中でシェアを拡大した」とし、「面白いことに、この2週間で支払われたロイヤリティのシェアはBlurが独占している」と述べた。
優良コレクションでは数百万ドルのロイヤリティ
ナンセンのレポートでは、6月のロイヤリティ支払いは全体として減少したものの、いくつかの優良コレクションでは開始以来、数百万ドルのロイヤリティ支払いが発生していると報告されている。
7月4日の時点で、Yuga Labs(ユガラボ)は、人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」、「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」、独自メタバース「Otherside」の土地を表すNFT「Otherdeed」を含むコレクション全体で合計1億6600万ドル(240億7000万円)近くのロイヤリティを受け取っている。さらに、Web3企業のChiru Labsは、主力のNFTコレクション「Azuki」とその派生プロジェクトである「BEANZ」「Elementals」のロイヤリティで5800万ドル(84億1000万円)以上の収益を上げているという。
ロイヤリティ論争はBlur参入がきっかけ
レポートでは、ロイヤリティ支払いの減少は、BAYCのフロア価格が20カ月ぶりの安値に下落する前、およびAzukiのElementals発行で不手際が起きる前に始まったと指摘されている。
ロイヤリティを尊重するかどうかは、BlurがプロのNFTトレーダーに訴求するために取引手数料ゼロのマーケットプレイスを立ち上げ、大手マーケットプレイスのOpenSeaに挑戦した10月以降によく議論されている。クリエイターやコレクターからの批判を受けて、Blurはコレクションが任意でクリエイターへのロイヤリティ支払いを義務付けられるように制度変更した。
X2Y2やマジックエデン(Magic Eden)などの他のNFTマーケットプレイスも、一時的にロイヤリティなしに切り替えた後、最近ロイヤリティ強制方針を変更した。
|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Nansen
|原文:NFT Creator Royalty Payments Hit Two-Year Low: Nansen