FOMC議事録は不確実性と慎重な楽観主義──ビットコインクジラの対応はまちまち
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)当局者らは、インフレと経済について慎重ながらも楽観的だが、リセッション(景気後退)の可能性を依然として懸念しているようだ。
  • ビットコイン(BTC)のクジラの数は増加しているが、規模に応じて行動が異なる。

5日に公表された6月会合のFOMC議事録は、中央銀行当局者らが今後数カ月間の経済の動向について不確実だと考えていることを示唆している。

当局者らの考え方が利上げの決定にどのように関わってくるかは、暗号資産(仮想通貨)市場に大きな影響を与える。一方、ビットコインのクジラの数は増加したが、その分布は変化した。

6月FOMCの警告

FOMC議事録では、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者らが今後6カ月以内にリセッションに陥る可能性を慎重に予測しているが、その後は緩やかなペースで回復すると考えていることが示されている。

当局者らは、そうしたリセッションは「深刻なものでも長期化するものでもない」との期待を示した。

それでも、利上げを一時停止するという決定を最近行ったことで、綱渡りをしているように見える。この決定は、無害であることを重視した金融政策へのアプローチだという印象を与えている。アメリカ経済はFOMCの予想よりも回復力があった。矛盾する経済データによって不確実性が生じている。

たとえば、6月のADP雇用統計では、民間企業が創出した雇用は2022年2月以来最大となる49万7000人超となり、予想の22万8000人を大きく上回った。一方、その後に発表された雇用動態調査(JOLTS)では、同期間の求人数が予想外に大幅に減少したことが示された。

クジラの対応は規模によって異なる

規模の大きい投資コミュニティはマクロ経済データを重視しているが、一部のビットコインクジラはFOMCと同様の不確実性を示しながらも規模を拡大している。

ビットコインクジラは1000BTC(43億5000万円、1ドル145円換算)以上を保有する投資家のこと。世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)がビットコインETF(上場投資信託)を申請する前日の6月14日以降、ビットコインクジラの数は1.6%増加。5月20日から続いていた短期的な下落傾向から転換した。

クジラ間での保有量の分布が異なることは、ビットコインへの信頼のレベルが異なることを意味する。

6月14日以降、1000~1万BTCを保有するグループの保有量は9万396BTC(2%)増加した。10万BTC以上を保有するグループも同様で、保有量は10万7883BTC(3%)増加した。

一方、1万〜10万BTCを保有するグループのBTC保有量は18万4153BTC(10%)減少した。このグループはリスクに対する見方が異なり、他の2つのグループよりもビットコインに対する信頼が低い。

マクロ経済環境に注目が集まる中、投資家はどのグループがより収益性の高い決定を下したかを確認すべきだろう。

|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Glassnode
|原文:FOMC Minutes Show Uncertainty, Cautious Optimism. Large Bitcoin Investors Are Taking Divergent Paths