グレイスケール・ビットコイン・トラストのディスカウント率、2022年5月以来最低に

世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)が米証券取引委員会(SEC)にビットコインETF(上場投資信託)を申請したことを受けて、190億ドル(約2兆7550億円、1ドル145円換算)を超える世界最大の上場ビットコインファンド、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の純資産価値(NAV)に対するディスカウント率が縮小し続けている。

ディスカウント率は一時26%まで低下

NAVに対するディスカウント率は昨年末に50%近くまで上昇。2023年のほとんどの期間は40%前後で推移していたが、ブラックロックが6月中旬にビットコインETFを申請したことを受けて、急激な縮小傾向が始まった。Ychartsを見ると、先週は一時26%まで低下し、2022年5月以来最も低い水準となった。現在は約27%で推移している。

ブラックロックの申請後、同じく資産運用会社大手のフィデリティ(Fidelity) などほかの多くの金融会社が同様のファンドの申請や再申請を行った。こうした強力なプレーヤーの動きにより、長年却下されてきたビットコインETFをSECが最終的に承認するのではないかという投資家の期待が高まっている。

これにより、約2年前にビットコインETFへの転換を申請したが却下され、大幅にディスカウントされたGBTCへの買いが加速した。グレースケールはSECを訴訟しており、第3四半期末までに判決が下される見込み。

レバレッジ型ビットコイン先物ETFを訴訟の論点に

グレイスケールの弁護士らは10日、裁判所に提出した文書で、SECが6月末にレバレッジ型ビットコイン先物ETFを承認したことを指摘。すでに承認済みのビットコイン先物ETFよりも「さらにリスクの高い」商品であるとし、訴訟の論点に追加した。

現時点ではビットコインETFのSEC承認に対する楽観的な見方が高まっているが、投資家は引き続き警戒する必要があるかもしれない。オピマス(Opimas)のCEO兼創設者であるオクタビオ・マレンツィ(Octavio Marenzi)氏は10日のCoinDesk TVで、「ブラックロックの申請が提出されたのを見たとき、本当に大笑いした」と語った。同氏は、米暗号資産取引大手のコインベース(Coinbase)がSECから提訴されているにもかかわらず、ブラックロックのファンドが暗号資産のカストディアンとしてコインベースを採用しようとしていることに着目した。

|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Ycharts
|原文:Grayscale Bitcoin Trust Discount Narrows to Lowest Since May 2022