ビットコインETFは300億ドルの新規需要をもたらす可能性がある:NYDIG

ビットコインに特化した投資会社ニューヨーク・デジタル・インベストメント・グループ(New York Digital Investment Group:NYDIG)の調査報告書によると、ビットコイン(BTC)のスポット上場投資信託(ETF)は、世界最大の暗号資産(仮想通貨)に300億ドル(約4兆1800億円)の新たな需要をもたらす可能性がある。

ここ数週間、ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)などの申請により、スポットETF熱が暗号資産市場を襲っている。

「ブラックロックとiSharesのブランド認知度、証券ブローカーを通じた購入・売却、ポジション報告、リスク測定、税務申告の簡便性からスポットETFは既存の代替手段と比べて、さらなるメリットをもたらす可能性がある」とNYDIGは報告書に書いている。

すでにNYDIGは、288億ドル(約4兆170億円)のビットコイン資産が運用され、276億ドル(約3兆8500億円)がスポット的な商品で運用されているとモデル化している。

(NYDIG)

ビットコインはしばしばデジタルゴールドと呼ばれるため、2000年代初頭に上場されたゴールドETFとの比較されるだろう。現在、ゴールドETFは世界の金総供給量の1.6%しか保有していない(各国中央銀行は17.1%を保有)が、ビットコインファンドはビットコイン総供給量の4.9%を保有しているとNYDIGは指摘している。

ファンドにおけるデジタルとアナログ、2つの資産に対する需要には大きな隔たりがある。ゴールドファンドには2100億ドル(約29兆2900億円)以上が投資されているが、ビットコインファンドには288億ドル(約4兆170億円)しか投資されていない。

「ビットコインのボラティリティはゴールドの約3.6倍であり、ボラティリティに換算すると、投資家はゴールドの3.6倍のビットコインをドルベースで購入する必要がある。それでも、ビットコインETFによって需要は300億ドル近く増加するだろう」とNYDIGは書いている。

暗号資産のニュースレター「Ecoinometrics」は、ビットコインETFについてより慎重な見方をしている。

Ecoinometricsは、ゴールドETFは、金現物価格に連動する容易に取引可能な商品を提供し、市場の重要な空白を埋めたとしている。

しかし、ゴールドETFとビットコインETFの比較は誤解を招く可能性がある。なぜなら、当時のゴールドの大幅な上昇は、有利なマクロ環境とドル安によるところが大きいからだ。対テロ戦争、中国の台頭、膨れ上がるアメリカの財政赤字の始まり、これらすべてが10年の間に詰め込まれたことを覚えているだろうか。

「ゴールドETFは間違いなく、ゴールド市場に良い資金流入をもたらしたが、マクロ環境はその間、主導権を握っていた」とEcoinometricsは述べている。「ビットコインのスポットETFは、ビットコインへの関心を喚起するのに役立ち、間違いなくビットコインに新たな資金を呼び込むだろう。しかし、1BTCを10万ドルの価値にすることはできない」。

ビットコインETFの真の可能性は、ETFのローンチ、米ドル安、連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和への動き、暗号資産に投資する可能性の高い若い個人への世代間の富の移転といった要因の収束にあると彼らは書いている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin Spot ETFs Could Bring $30B in New Demand, Crypto Trader NYDIG Says