米下院共和党、暗号資産監視法案を提出──DeFiへの悪影響が懸念

米下院共和党は20日、暗号資産(仮想通貨)分野の投資家を保護するための規制枠組みを確立することを目的とした新たなデジタル資産監視法案を提出した。

従来の証券の多くがデジタル資産のカテゴリーから除外されているため、分散型金融(DeFi)への悪影響が懸念されている。

暗号資産取引所のSEC登録を可能に

下院農業委員会のグレン・トンプソン(Glenn “GT” Thompson)委員長は、「本日行われた21世紀金融イノベーション・テクノロジー法の提出は、消費者と投資家を保護し、デジタル資産分野におけるアメリカのリーダーシップを育てる待望の規制枠組みを確立することを目的とした下院農業・金融サービス委員会の取り組みにおける重要な節目だ」と表明した。

この法案は、デジタル資産に関する包括的な規則の制定を目的として近年提出されたいくつかの法案のうちの1つ。規制の明確性が欠如していることや積極的な執行措置が相次いでいることが認知され、既存の暗号資産ビジネスがアメリカからの撤退を検討し、スタートアップの設立が妨げられる中で提出された。

法案は6月初旬に初めて起草された。暗号資産取引所が米証券取引委員会(SEC)に登録するための規制の道筋を定めることを目的としており、暗号資産取引所がデジタル証券や商品、ステーブルコインをすべて1か所で取引できるようになる。

ダスティ・ジョンソン(Dusty Johnson)議員は、「暗号資産業界は明確さを求めており、我々の共同法案によって商品先物取引委員会(CFTC)とSECの両方に地位を与えることができる。我々の法案は、デジタル資産の開発者がイノベーションを続ける上で金融の安全性と確実性を確保するための明確な原則を確立させるものだ」と述べた。

デジタル資産の定義が問題

デルフィ研究所(Delphi Labs)の法務顧問であるガブリエル・シャピロ(Gabriel Shapiro)氏は、6月の草案からの変更点について、自身の見解では「法案の価値を完全に変えるもの」であり、解決しようとしている曖昧さを再び持ち込むことになると指摘した。

法案の10ページ目では、「デジタル資産」の定義から、株式、債券、「譲渡可能株式」、「利益または利益分配契約への参加の証明書」など従来のさまざまな証券を除外している。

この点についてシャピロ氏はTwitterで、コンパウンド(Compound)のcトークンやリキッド・コレクティブ(Liquid Collective)のリキッド・ステーキング・トークン(Liquid Staking Token)など、分散型金融の市場でみられるさまざまな資産は、「現行法に基づいていないとしても、この条項の下で高度に規制されるだろう」と指摘。「SECは依然として戦争の道を進む可能性がある…トークンが『譲渡可能な株式』『プロフィット・インタレスト』などであると主張するだけでいいのだ」と警鐘を鳴らした。

|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. House Republicans Introduce Crypto Oversight Bill With Changes From June Draft