米国家安全保障局、耐量子仮想通貨を開発か?

これまで米国家安全保障局(NSA)の仮想通貨領域での活動は、ビットコイン(BTC)ユーザーの追跡に限られていた。少なくとも我々が知る限りは。しかし、NSAは今、独自の開発に取り組んでいる可能性がある。

ブルームバーグ(Bloomberg)のサイバーセキュリティー担当記者、ウィリアム・タートン(William Turton)氏がツイッターに投稿した内容によると、NSAのサイバーセキュリティーディレクターであるアン・ニューバーガー(Anne Neuberger)氏は、ワシントンDCで開催された第10回年次ビリントン・サイバーセキュリティ・サミット(10th Annual Billington CyberSecurity Summit)にて、NSAは耐量子「クリプト(crypto)」を開発していると述べたという。

NSAがこのような研究を行っている理由は定かではないが、量子コンピューティングは現在のブロックチェーン技術を無効にできる可能性を秘めている。

まだ初期段階ではあるものの、量子コンピューティングは将来、仮想通貨の秘密鍵を含むデータがインターネットを通過する仕組みの基礎となる暗号の大部分を解読できるようになるかもしれないとCoinDeskは以前報じた

注意すべき点として「クリプト(crypto)」という用語には「仮想通貨(cryptocurrency)」と「暗号手法(cryptography)」の2つの意味がある。ニューバーガー氏のコメントは、NSAが仮想通貨ではなく、暗号手法に取り組んでいることを意味する可能性もある。

今年7月、NSAはサイバーセキュリティー指令部を新設することを発表した。 NSAによると、同指令部は「国家安全保障システムと防衛産業基地への脅威を防止し、根絶する任務を負い」2019年10月1日から活動を開始する予定。

ニューバーガー氏は、NSAでロシアからの干渉に対応するチーム「Russia Small Group」を率いた後、サイバーセキュリティー指令部の責任者に就任した。

2018年に米メディアのザ・インターセプト(The Intercept)がNSAの元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏から入手した機密文書によると、同局はビットコインの監視を最優先事項とした。あるNSAのメモは、同局がビットコインのユーザーパスワード、インターネット活動、デバイス識別子などの個人情報を収集していたことを示唆している。

翻訳:新井朝子
編集:町田優太
写真:NSA image via Shutterstock
原文:NSA Reportedly Developing Quantum-Resistant Crypto