偽のペイパルUSD詐欺、複数のブロックチェーンで発生

送金・決済大手のペイパル(PayPal)社が最近立ち上げたドルペッグ型ステーブルコインのペイパルUSD(PYUSD)の偽物が複数のブロックチェーン上で発行され、詐欺が横行している。

DEXToolsのデータによると、8日アジア時間正午の時点で、イーサリアム、BNBチェーン、Baseなどのネットワーク上に66以上の偽トークンが存在している。大部分は、オリジナルのペイパルUSDが存在するイーサリアムブロックチェーン上で発行されている。

ペイパル社は7日、ペイパルUSD(PYUSD)を近くユーザーが利用できるようにすると発表していた。大手金融会社が独自のステーブルコインを発行するのは今回が初めて。ペイパルでサポートされている外部ウォレットとの間での送金や商品・サービスの支払い、ペイパルでサポートされている暗号資産との交換が可能になる。

ペイパルUSDはまだ公開されていないが、詐欺師は疑う意識の低いユーザーを標的にしている。「PYUSD」という名前のトークンを発行し、イーサリアムまたは別の暗号資産(仮想通貨)で流動性を追加し、分散型取引所(DEX)でユーザーに提供するのが手口だ。

イーサリアムなどのブロックチェーン上では、誰でもスマートコントラクトを呼び出して数セントの出費でトークンを発行できるため、こうした詐欺が可能になっている。分散型取引所では、トークンが即座に発行され、流動性が供給され、その後すぐに取引できる。

作成者がトークン発行後に供給量のほとんどを購入すると、実際にはハニーポット(犯罪者をおびき寄せるために意図的に設置されたおとり)であるにもかかわらず、人気のトークンであるかのような錯覚を与えることになる。こうした手口では数時間で数千ドルを手にすることができる可能性があり、完全に非倫理的ではあっても収益性の高い事業になる。

一方で、作成者が発行から数時間後に偽トークンからすべての流動性を引き出し、価格を100%下落させ、購入したトークンが無価値になるケースもある。

|翻訳・編集:林理南
|画像:TradingView
|原文:Fake PayPal USD Tokens Pop up on Several Blockchains