- ChatBTCは、ビットコイン関連の研究開発を手掛けるチェーンコード・ラボ(Chaincode Labs)が作成したAI(人工知能)チャットボットで、技術情報の「質の高い情報源」を使ってビットコインに関する質問に答えるようにトレーニングされている。
- チェーンコード・ラボによると、OpenAIのChatGPTとは異なり、この新しいチャットボットは不正確な回答をしたり、「ハルシネーション(幻覚)」を起こす可能性は低い。
ビットコイン(BTC)について質問がある? チェーンコード・ラボがリリースしたばかりの新しく、専門的なAI(人工知能)ツールは、信頼できる情報を提供することを目指している。話題のAIツール「ChatGPT」から得られるかもしれない、より一般的で、ときには不正確な回答とは対照的だ。
ビットコイン愛好家はもう、人気のQ&Aサイト「Bitcoin Stack Exchange」を探し回ったり、ビットコイン開発者のメーリングリスト「Bitcoin-dev」を血眼になって遡ったりして、ビットコインに関する技術的な質問への回答を探す必要はない。
人気AIツールのChatGPTに質問を入力することは、イライラの原因となり得る。なぜなら、情報の出所は必ずしも完全に明らかにされているとは限らず、盗用や不正確な回答、古い情報に基づいた回答であるリスクがあるからだ。
信頼できる高品質の回答
チェーンコードによる新しい実験的サービスは、ChatBTCと呼ばれている。チェーンコードのプロダクトマネージャー、アート・アソイアンツ(Art Assoiants)氏によると、このサービスはChatGPTの代替として機能し、特定の専門的で厳選されたビットコイン関連の情報源を使ってトレーニングされている。
「回答の質だけでなく、アイデアがどこから来ているのかについて高い信頼性を求める人々のためのもの」とアソイアンツ氏は語り、「ChatBTCは、詳細な技術的議論を伝統的に支えてきた高シグナルのリソースをキュレートしたものに基づいている」と続けた。
We made a technical bitcoin chat based on high quality sources.https://t.co/iOjeRnrk8J
— Jonas (@adamcjonas) 2023年8月3日
「私たちは高品質の情報源に基づき、技術的なビットコインチャットを開発した」
AIは、昨年末にOpenAIのChatGPTが話題になって以来、最も注目の技術トレンドになっている。OpenAIはAIの研究会社で、ChatGPTはその代表的なチャットボット。立ち上げからわずか2カ月で1億人以上のユーザーを獲得した。ChatGPTは大規模言語モデル(LLM)で、ユーザーの質問に対して人間のようなテキストを生成するソフトウェアだ。
しかし、OpenAIによれば、汎用的なChatGPTは「2021年以降の世界情勢に関する知識が限られており」、「ハルシネーション」や不正確な回答、あるいは攻撃的な回答に悩まされているという。
ChatBTCは、同じくチェーンコード・ラボによって開発されたbitcoinsearch.xyzと同じ知識ベースを使用しており、アソイアンツ氏によると、Bitcoin Stack Exchange、Bitcoin Talk、Bitcoin Optech、Bitcoin Transcriptsなどのウェブサイト、Bitcoin-devおよびLightning-devのメーリングリスト、限られた一部のブログなどからリソースを引き出すという。
チェーンコード・ラボの特別プロジェクト責任者アダム・ジョナス(Adam Jonas)氏によれば、このサービスはまだ初期のアルファ段階だという。
ジョナス氏はX(旧ツイッター)に「このアルファにどうかご慈悲を。改良にご協力いただける方には、一番下にフィードバックフォームを用意してあります。すべての回答が100%正確というわけではありません」と投稿した。
「ホロキャット」
ユーザーはChatGPTのような標準的なチャット・インターフェースで迎えられる。下にスクロールすると「ホロキャット(Holocat)」いう名前のバーチャルなネコとチャットして、一般的な回答を得ることができる。
また、ユーザーは自分の好きなビットコインの第一人者のアバターを選択することもでき、そのアバターのもとになっている人物が実際にかつて提供したもののみで回答を得ることができる。このオプションには現在、マット・コラル(Matt Corall)氏、アンドリュー・チョウ(Andrew Chow)氏、グレッグ・マクスウェル(Greg Maxwell)氏の、3人のビットコイン・コア(Bitcoin Core)コントリビューターが用意されている。
「部分的に署名されたビットコイン・トランザクションの発明者から、部分的に署名されたビットコイン・トランザクションについて学びたいのであれば、我々はあなたのためにそれを用意することができます」と、チェーンコード・ラボのChatBTCを紹介するビデオでナレーターは語る。ナレーターはまた「ハルシネーションを起こさせるのは、少し難しいのです」とも付け加えている。
ChatGPTと違って無料バージョンはないが、かなり安価に利用できる。いくつかの質問をした後、ユーザーはプロンプト1件につき最低50サトシ(ビットコインの最小単位で、1ビットコインは1億サット)を支払わなければならない。50サトシは現在、約1.5セント(約2円)。
ビットコイン教育のために
ChatBTCの支払いインターフェースは、最近ビットコイン支払いを受け入れるように設定された、L402と呼ばれる無名のウェブ規格を使用している。そのインターフェイスに取り組んでいる開発者の1人がテオフィルス・アイザ(Theophilus Isah)氏だ。
「その部分は私が陣頭指揮を執った。まだ改良の余地はあるが」とアイザ氏は語った。
アイザ氏とアソイアンツ氏は、コントリビューターであるアービッシュ・パテル(Urvish Patel)氏、エマニュエル・イタクペ(Emmanuel Itakpe)氏、スティーブン・デローム(Stephen DeLorme)氏と共同でChatBTCの現行バージョンを作成した。
ビットコインに特化したチャットボットには他にも、ChatBTC.devとtalk2satoshi(現時点ではオフラインのようだ)があり、どちらもX(旧ツイッター)でのエンゲージメントから判断すると、人気はそれほどないようだ。
アイザ氏は、世界がビットコインに焦点を当てた教育リソースをもっと必要としていると考え、3カ月ほど前にこのプロジェクトに関わることを選んだという。
「ビットコインについてほとんど、あるいはまったく知識のない人々をオンボーディングすることに役立つと同時に、答えとなるソースへのリソース(リンクや参考文献)を提供するものでもある」とアイザ氏は語った。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:ChatBTCの「ホロキャット」(Chaincode Labs)
|原文:It’s ChatGPT, but for Bitcoin: New AI Tool Avoids ‘Hallucinations’