ビットコイン、2万6000ドルまで下落──動きの乏しかった8月が一転

By Omkar Godbole, Krisztian Sandor, Stephen Alpher

2023年 8月 18日 08:11 2023年 8月 18日 08:11

ビットコインは売り圧力にさらされている。金利上昇とウォール街のリスク回避姿勢のためだ。
ビットコイン先物のレバレッジは2022年4月以来の最低水準

ビットコイン（BTC）は17日、約9.5％下落し、バイナンス（Binance）で一時2万5000ドル台となった。動きに乏しかった8月は、ウォール街がリスク回避姿勢を強めたことで暗号資産市場は大きく下落した。

CoinDesk Bitcoin Indexは2カ月ぶりの低水準。イーサリアム（ETH）も11%下落し、1600ドル付近。売り圧力が強かったBNB（Build and Build、いわゆるバイナンスコイン）は7％近く下落した。

暗号資産市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk Market Index（CMI）は8％下落。

米金利が数年来の高水準に

下落の要因は、世界中で金利上昇が続いていること、ブルームバーグによると、アメリカでは30年物米国債の利回りは4.42%と2011年以来の高水準に達した。10年物の利回りは4.32％で、約15年ぶりの高水準まであと1ベーシスポイントに迫っている。

影響は暗号資産価格だけでなく、リスク資産全般に及んだ。ナスダックは横ばいだったが、8月は約6％の下落となっている。

「債券利回りの上昇は、株式投資を弱めるシグナル」とマクロアナリストのノエル・アチェソン（Noelle Acheson）氏は17日、マーケットレポートで述べた。

「信用収縮は成長率の低下を招き、ディスカウント率の上昇はキャッシュフローの評価を下げ、株式のリスク・プレミアムは2007年の水準まで低下している」

「債券利回りの上昇はまた、ビットコインやゴールドのような非利回り資産への投資が弱まっていることを示している」

スポットビットコインETFへの期待

一方、ビットコイン強気派は、米証券取引委員会（SEC）によるスポットビットコインETFの承認が間近に迫っていることを期待しているが、SECが年内に承認する保証はどこにもない。

また、グレイスケールがSECに対して、グレイスケール・ビットコイン・トラスト（GBTC）のETFへの転換を認めるよう求めている訴訟において、グレイスケールに有利な判決が下されることもポジティブな要因となる可能性がある。18日に判決が出るかもしれない。

ビットコインへの弱気な賭け

米商品先物取引委員会（CFTC）のCOT（Commitment of Traders）レポートによると、ヘッジファンドや商品取引アドバイザーなどのレバレッジファンドは、8月8日までの週、シカゴ・マーカンタイル取引所（CME）でのビットコイン先物で弱気の投資を増やしている。

「ポジションの3分の2はショート（赤）で、3分の1はロング（青）。これは2022年4月以来の大きな差」と暗号資産分析会社The Tie’sのコンテンツ・ディレクター、ローレンス・ルウィティン（Lawrence Lewitinn）氏は週刊ニュースレターで述べた。

トレーダーはおそらく、不透明なマクロ環境と米国債利回りの上昇による潜在的な影響を懸念しているのだろう。

その上、暗号資産市場は、ペイパル（PayPal）によるステーブルコインの発行や、イーサリアムに連動する先物ベースのETFの相次ぐ申請など、最近のポジティブな動きには無関心のようだ。

「世界最大級の金融サービス企業がパブリックブロックチェーンを利用したステーブルコインを発行するにせよ、先物ベースのイーサリアムETFの申請が殺到し、再び盛り上がりを見せているにせよ、ボラティリティと取引高は数年来の低水準まで下がり続けている」と機関投資家向けトレーディングデスク、FalconXのリサーチ責任者、デビッド・ラワント（David Lawant）氏はマーケットの最新情報について語った。

「全体として、暗号資産のトレンドとファンダメンタルズの状況は楽観主義を維持しているが、マクロからより広範なリスク資産、さらには暗号資産への潜在的な波及効果に注視する良いタイミング」とラワント氏は続けた。

ビットコインが下落した一方で、柴犬コイン（SHIB）は顕著な上昇を見せ、高値となっている。レイヤー2ネットワーク「シバリウム（Shibarium）」のローンチによって、柴犬コインは業界の重要なプレーヤーとしてのイメージを確立するだろうとの楽観論から、8月の最初の12日間で20％以上上昇した。

だがその後、18％下落し、シバリウムの運用開始はいくつかの問題に見舞われ、さらに過去24時間で9％下落している。Coinglassによると、バイナンスでの柴犬コインの永久先物の資金調達率はマイナス0.084%と2カ月ぶりの低水準まげ下落した。