- コインベースはサークル・インターネット・フィナンシャルの少数株式を取得する。
- ステーブルコインのUSDコインを管理していたセンター・コンソーシアムは解散し、USDコインは完全にサークル社が社内管理するようになる。
- 6つのブロックチェーンが新しくUSDコインで採用され、対応ブロックチェーン数は計15になる。具体的なチェーンは不明だが、過去にサークルが2023年に追加予定だとしていたのはポルカドット、ニア、オプティミズム、コスモス。
米暗号資産取引大手のコインベース(Coinbase)は、サークル・インターネット・フィナンシャル(Circle Internet Financial)の少数株式を取得する。また両社は、世界第2位のステーブルコインであるUSDコイン(USDC)を発行していたセンター・コンソーシアム(Centre Consortium)での提携を解消する。
この動きの一環として、サークルはUSDコインの発行と管理を完全に社内で行うことになる。
また、新たに6つのブロックチェーンがUSDコインに対応する見通しで、対応ブロックチェーンの総数は15になる。
株式取得の規模は不明
コインベースとサークルは、ブログ投稿やCoinDeskとのインタビューの中で、コインベースが取得した株式の規模を明らかにしなかった。事情に詳しい関係者によると、コインベースはサークルに株式の対価として現金を渡さなかったという。
コインベースとサークルは追加される6つのブロックチェーンを明らかにしなかった。なお、サークルは2022年9月に、2023年にポルカドット(Polkadot)、ニア(Near)、オプティミズム(Optimism)、コスモス(Cosmos)を追加する予定だと述べていた。その後、コインベースは独自のブロックチェーン「Base」を立ち上げた。
ドルペッグ型ステーブルコイン業界に大きな変化
ドルペッグ型ステーブルコインの業界では最近大きな変化が起きている。直近では、米決済大手PayPal(ペイパル) が、パクソス(Paxos)と提携して独自のペイパルUSD(PYUSD)を導入し、テザー(Tether)社のテザー(USDT)やUSDコインの優位性を揺るがす事態となった。支払いと送金の深いつながりを考えると、ペイパルは強力なライバルとなる可能性がある。
コインベースのプロダクト管理担当シニアディレクターのフィル・マクドネル(Phil McDonnell)氏によると、コインベースの立場から見ると、USDコインの将来は暗号資産(仮想通貨)取引をはるかに超え、外国為替や国境を越えた資金移動、金融包摂の分野にまで広がっているという。しかし、マクドネル氏はペイパルとの競争を重要視しなかった。
ペイパルUSDが「パイを拡大」
マクドネル氏はCoinDeskに対し、「ペイパルが我々のパイを増やしてくれると心から信じている」と表明。「金融業界全体と比較すると、現在の暗号資産の規模は非常に小さい。そして、ペイパル経由で来たのか、他のルートから来たのかにかかわらず多くの人々を取り込むことで、最終的には多くの人が、我々コインベースを含む暗号資産の他の分野に進むことになる」と語った。
サークルの最高戦略責任者(CSO)兼グローバルポリシー責任者のダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)氏は、ステーブルコインの規制はまだ発展の初期段階にあるが、明確性が見えてきつつあると指摘。アメリカ下院の主要委員会で超党派の支持を得た2023年ステーブルコイン決済明確化法(Clarity for Payment Stablecoins Act of 2023)に言及し、サークルが最近シンガポールで主要決済機関ライセンス(Major Payment Institution License)を取得したことにも触れた。
ディスパルテ氏は、「我々はセンター・コンソーシアムを廃止できる段階に来ているだけでなく、ステーブルコインの規制に関する市場の明確性を考えると、そうすることは特許の面で意味のあることだ」と指摘。「ペイパルのような大手企業がゲームに参入しており、ステーブルコインの自主規制組織構造というよりほかに適切な表現がなかったものを廃止するのに十分な明確性があることは明らかだ」と述べた。
ブラックロックなどにも株式を売却
サークルは2022年にも株式を売却し、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)を含むグループから4億ドル(約580億円、1ドル145円換算)を調達した。この2社は最近ビットコインETF(上場投資信託)の発行を試みて話題になった。
サークルは先月、強固なバランスシートを維持し、中核事業活動に集中するために従業員の一部を削減すると発表した。
ブログ投稿では、「コインベースとサークルは今後もUSDコイン準備金の利息収入から収益を生み出し続けていく」ことが発表された。「両当事者の新たな取り決めの下では、この収益は引き続き各プラットフォームで保有するUSDコインの金額に基づいて分配され、さらにUSDコインのより広範な分配と利用から生じる利息収入も均等に分配することになる」という。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk/Coinbase
|原文:Coinbase Gets a Stake in Stablecoin Operator Circle and USDC Adds 6 New Blockchains