暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)と密接な関係にある暗号資産BNBは、ロシア制裁をめぐる新たなリスクに関する報道を受け、同社に対する規制や法的圧力がすでに高まっていることもあって1年以上ぶりの安値まで下落した。
BNBは22日午後に204ドルまで下落、2022年6月の暗号資産市場の下落以来、最も低い水準となった。その後、わずかに回復して、当記事執筆時点では205ドル付近、1週間で約14%下落している。
監視の目が強まるバイナンス
今回の下落は、バイナンスがロシア人ユーザーの海外送金を促したというウォール・ストリート・ジャーナルの報道後に起きた。
同取引所に対しては、すでに世界中で規制当局からの監視が強まっていた。例えば、米証券取引委員会(SEC)は、顧客の資金混同、BNBやバイナンスUSD(Binance USD)の上場は未登録証券の上場にあたるなど、複数の連邦証券法違反があったとしてバイナンスを提訴している。
バイナンスを取り巻くリスクはBNBに重くのしかかっている。BNBは時価総額320億ドル(約4兆6400億円、1ドル145円換算)を誇る第4位の暗号資産であり、BNB Chain(以前はバイナンス・スマート・チェーンと呼ばれていた)を支えている。
BNBとともにビットコインも下落
一部の市場観測筋は以前から、バイナンスはビットコイン(BTC)を売却して、BNBを支えようとしていると主張しており、さらなる価格下落は暗号資産市場により広範な影響を与える可能性がある。チャンポン・ジャオCEOはこうした噂を否定している。
22日午後、BNBの下落とともに、ビットコインも2万5800ドルを割った。
ローン清算でリスク緩和の動きも
分散型金融プロトコルのヴィーナス(Venus)で、1億3000万ドル相当のBNBを担保にしたローンの清算が迫っていることも、BNB価格に圧力を加えている。ヴィーナスのガバナンス投票によると、BNB Chainは「連鎖的な清算」と「市場への不要な損害」を避けるため、秩序ある方法でのローン生産に向け、ヴィーナスと調整している。
BNB Chainの開発チームは21日、未払い債務のうち3000万ドルを清算、リスクはいくらか緩和されたようだ。一部清算後、BNB Chainはバイナンスのウォレットから3000万ドル相当のテザー(USDT)を受け取ったと、ブロックチェーン分析企業アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)のデータは示している。
|翻訳:清水マキ
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:BNB Token Stumbles to 1-Year Low Amid Mounting Scrutiny Over Binance