ビットコイン短期保有者の約90%が含み損──上値の重い展開に

オンチェーンのデータによると、ビットコイン(BTC)の短期保有者(STH)は、短期的な価格変動に敏感な傾向があり、最近の価格下落の後、コインの保有量が減少している。

この時価総額でトップの暗号資産(仮想通貨)は先週、10%以上下落して2万6200ドルとなり、11月以来最悪のパフォーマンスを記録した。

グラスノード(Glassnode)が追跡したデータによると今回の下落で、短期保有者、つまり155日以上コインを保有しないウォレットが管理する供給量の88.3%が含み損に陥った。

言い換えれば、短期保有者が保有する256万ビットコインのうち、約226万ビットコインは取得コストが市場相場よりも高いのだ。

「損失を抱えたSTH供給の急激な上昇は、2021年5月、2021年12月、そして今週のような 『上値の重い市場(top-heavy market)』になる傾向がある。STHが保有する256万BTCのうち、30万BTC(11.7%)だけがまだ利益を確保している」と8月21日に発行されたグラスノードの週刊ニュースレターは述べている。

含み損を抱えた短期保有者が支配する供給の割合が急増した。(Glassnode)

上値の重い市場とは、この場合、損失に直面している短期保有者による潜在的な清算のため、利益を得るのに苦労する可能性が高くなる市場のことだ。

そしてそれはすでに起こっている。グラスノードによると、取得コストが市場相場より高いSTH所有コインの取引所への流入、いわゆる取引所に流入するSTH量の損失優位が最近増加している。投資家は通常、ポジションを清算したり、デリバティブ取引の証拠金として使用する場合、コインを個人のウォレットから取引所に移動させる。

「今週は、3月の1万9800ドルへの売り越し以来最大の損失優位が観測された。このことは、STHが保有資産の大部分を水面下に置き、価格に対する感応度を高めていることを示唆している」とグラスノードは指摘した。

Marex Solutionsのデジタル資産共同責任者のイーラン・ソロット(Ilan Solot)氏は、短期保有者の含み損は現在の市場にとって重大な問題の一つであると述べた。

「本当の問題は、BTCの現在の脆弱な市場環境だ。なぜなら、短期保有者は価格もストーリーも水面下にあるからだ」とソロット氏は電子メールで述べた。

「短期保有者のほぼ90%が含み損を抱えており、これはしばしば売り圧力と相関している」とソロット氏は付け加え、債券利回りの上昇と流動性の逼迫の中で、スポットETFのシナリオは「承認される可能性はあるが、遅い」へとシフトしていると説明した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Glassnode
|原文:Nearly 90% of Bitcoin Short-Term Holders Are Underwater, Onchain Data Show