破綻したプライム・トラスト、テラUSDへの投資で800万ドルを失っていた

暗号資産(仮想通貨)カストディアンのプライム・トラスト(Prime Trust)は、アルゴリズム・ステーブルコインのテラUSD(UST)への投資が失敗に終わり、顧客資金600万ドル(約8億7000万円、1ドル=145円換算)と自社の200万ドル(約2億9000万円)を失ったと最高経営責任者(CEO)のジョール・ロー(Jor Law)氏が8月24日の裁判所への提出文書で述べた。

取締役を経て11月29日にCEOに就任したロー氏は、顧客が同社がアクセスできない間違ったウォレットに送金するように指示された2021年1月の事件にも言及した。 同社は、その後、出金リクエストに応えるために、7600万ドル(約110億2000万円)を費やしてイーサリアム(ETH)を購入しなければならなかったという。

破産手続きの一環として提出されたこの証人陳述書は、セルシウス(Celsius)のアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏やFTXのサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏を含む元幹部が複数の詐欺容疑に対して無罪を主張している、暗号資産業界における財務上の不手際とガバナンスの杜撰さに関する一連の疑惑の最新のものだ。

2023年6月、プライム・トラストは暗号資産で86万1000ドル(約1億2485万円)、法定通貨で8300万ドル(約120億3500万円)近い顧客資金の不足に陥ったとロー氏はデラウェア州の裁判所に語った。プライム・トラストはその直後に管財人の管理下に置かれている。

2022年5月に自動取引を利用してその価値を米ドルに固定しようとしたテラの破綻は、セクター全体に跳ね返り、新たな「暗号の冬」の到来を告げた。

しかし、その後もプライム・トラスト・グループは「支出を増やし続け、時には過大とも思える支出を行った」とロー氏は指摘した。2022年11月、まだ同氏が経営に参加していない同社は、わずか270万ドル(約3億9150万円)の収入に対して1110万ドル(約16億950万円)を支出していたという。

プライム・トラストは、ライバルのカストディアンであるビットゴー(BitGo)に買収されることが決まっていたが、6月にプライム・トラストの財務の健全性が懸念され、買い手は撤退した。この懸念は、わずか5日後にネバダ州の規制当局が同社とその親会社であるプライム・コア・テクノロジーズ(Prime Core Technologies)を管財人の管理下に置くことを申請したことで根拠があると証明された。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Edited by CoinDesk
|原文:Prime Trust Lost $8M in Doomed Terra Stablecoin Investment, CEO Says