ビットコイン、一時2万8000ドルまで上昇──グレイスケールがビットコインETFをめぐる裁判でSECに勝訴

ビットコイン(BTC)は、連邦控訴裁判所が米証券取引委員会(SEC)に対して、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)のETFへの転換を求めるグレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)の申請を却下したことを見直すよう命じる判決を下したことを受けて、29日午後に7%以上上昇し、一時2万8000ドルを超えた。その後、当記事執筆時点では2万7900ドル付近となっている(日本時間30日8時時点では、2万7600ドル付近)。

GBTCは17%上昇し、純資産価値(NAV)に対するディスカウント率は25%から17%に縮小。トレーダーは、判決がETF転換につながる可能性に賭けている。ETFに転換すれば、ディスカウントはなくなる。

判決は、アメリカにおける現物ベースのビットコインETFの実現につながるもの。ビットコインETF推進派は以前から、ビットコインETFが実現すれば、ビットコインを直接購入したり、カストディ・プロバイダーの破綻などのリスクに備えるなどの手間をかけずに、多くの人がビットコインに投資できるようになると主張している。

D.C.巡回控訴裁判所の判決を書いたネオミ・ラオ(Neomi Rao)巡回裁判官は、連邦政府機関は「同じようなケースを同じように扱う」ことが求められていると述べた。

「SECは最近、国内の取引所における2つのビットコイン先物ファンドの取引を承認したが、グレイスケールのビットコインファンドについては却下した」「委員会の却下の見直しを求めているグレイスケールは、同社が提案しているビットコインETFは、ビットコイン先物ETFと実質的に類似しており、NYSE Arcaでの取引を承認されるべきと主張している。我々は同意する」

暗号資産関連銘柄のうち、コインベース(Coinbase)の株価は16%上昇、マイクロストラテジー(MicroStrategy)は11.6%上昇した。大きく下落していたマイナーの株価はさらに大きな上昇を見せ、マラソン・デジタル(Marathon Digital)は29%上昇、ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)と、ハット8マイニング(Hut 8 Mining)は16%上昇した。

アルトコインも大きく上昇。イーサリアム(ETH)、カルダノ(ADA)、ドージコイン(DOGE)、ソラナ(SOL)はいずれも約5%上昇した。

コイングラス(CoinGlass)のデータによると、過去24時間で8700万ドル(約126億円、1ドル145円換算)のショートが清算され、うち7600万ドルはこのニュースの後の1時間で清算された。

「判決後のビットコインの急騰は、市場の期待感と、このような決定が持つ重大な影響力を示している」とCrypto Council for Innovationの法律顧問兼グローバル・ポリシー責任者ジ・キム(Ji Kim)氏は述べた。

「ビットコイン現物ETFの上場の可能性が大きくなるなか、今回の判決を受けて、暗号資産に対する投資家の信頼がリアルタイムで高まっている」

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Tops $28K on Grayscale Ruling, While Crypto-Related Stocks Soar More Than 10%