ビットコイン(BTC)は、暗号資産運用会社グレイスケールがビットコインETF(上場投資信託)をめぐる裁判で米証券取引委員会(SEC)に勝訴したことを受けて、29日に大きく上昇した。
このきわめて重要な判決の前、約3万BTC──その時点の市場価格2万7400ドルで、8億2200万ドル(約1200億円)相当──が、暗号資産取引所に関連するアドレスに移された。その後、判決を受けて、ビットコインは6%上昇し、価格は一時2万8000ドルを超えた。
おそらく、一部のトレーダーたちが価格上昇を予測し、ビットコインを取引所に移動させることで売却の準備をしていたのだろう。投資家は通常、売却するときに暗号資産を取引所に動させる。そのため、取引所への流入増加は、しばしば価格乱高下する前兆と見なされる。
「ビットコインの取引所への供給は、グレイスケールがSECに勝利する直前、大幅に増加した。権力者たちが、判決の結果として、暗号資産市場の時価総額が必然的に上昇することを知っていたことは明らか」とサンティメントはオンチェーン・アナリストのアリ・マルティネス(Ali Martinez)氏のコメントを紹介しつつ、ツイートした。
ただし、アドレスベースのオンチェーン分析から、明確な結論を導き出すことは難しい。
流入と流出が上昇
韓国を拠点とするCryptoQuantが追跡したデータによると、1トランザクションあたりの平均流入、つまり取引所に送金されたビットコインの量は、価格が2万8000ドルに上昇した6月21日以来最高の1.146に上昇した。
平均流入の上昇は、投資家が1回のトランザクションで多くのビットコインを送っていることを示し、潜在的な売り圧力のサインとなる。
しかし、今回は必ずしもそうではなく、平均流出も2カ月ぶりの高水準に上昇、取引所、特にスポット取引を提供する取引所の保有残高は減少した。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Santiment, Ali Martinez
|原文:Crypto Exchanges Saw Inflows of 30K Bitcoin Prior to Grayscale’s SEC Victory