ビットコイン(BTC)価格は、長年の懸案であったグレイスケール(Grayscale)のビットコインスポットETFが、裁判所の判決を受けてアメリカで承認されるとの期待にトレーダーが反応し、数週間の低迷の後、8月29日に約7%急騰した。
連邦控訴裁判所は、アメリカ証券取引委員会(SEC)に対し、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)を上場投資信託(ETF)に転換するという申請の却下を「取り消す」よう命じた。SECはこれまで、すべてのETF申請を却下してきたが、これによってアメリカでビットコインETFが誕生する可能性が出てきた。
グレイスケールと米CoinDeskはともにデジタル・カレンシー・グループ(DCG)の子会社だ。
しかし、多くの市場参加者が喜んでいる一方で、一部のトレーダーは楽観論に対して慎重な姿勢を崩していない。
「グレイスケールは却下の原因が裁判官にとって公正でないように思えたため、SECによって彼らの申請書が再評価される機会を得たのだ」と、Fineqia Internationalのリサーチアナリスト、マッテオ・グレコ(Matteo Greco氏)は8月30日の米CoinDeskへのメモの中で述べた。「グレイスケールがすぐにビットコイン現物ETFを上場できるということでも、将来的にそうなるということでもない」。
「この展開は間違いなく、市場にとって強いポジティブなシグナルだ。しかし、グレイスケールがいつETFとして上場できるかという最終決定はまだなされていない」とグレコ氏は付け加え、約250万ビットコインが短期的な損失を抱えて保有されており、今後数カ月の間に逆風となる可能性があると指摘した。
「大きな視点で暗号資産市場全体を分析すると、取引量は依然として極めて少ない。8月の中央集権型取引所での累計取引高はおよそ4000億ドルで、2020年12月以降で最低の数字だ」とグレコ氏は述べた。
しかし、裁判所の決定は全面的な承認を意味するものではないが、規制環境の変化の第一歩を示すものだとする意見もある。
「この判決はまだアメリカ初のビットコインETFが承認されることを意味するものではないが、自らの主張を裏付ける確かな論拠を示してきた規制当局と暗号資産プレーヤーとの間の法的エスカレーションのパターンに従っている」とフローデスク(Flowdesk)の共同創設者、ギレム・ショーモン(Guilhem Chaumont)氏は米CoinDeskへのメッセージで述べた。
「これがこの訴訟の最終的な終結ではないが、アメリカにおける規制導入に関する一連の前向きなニュースの最初のものであったとしても驚かない」とショーモン氏は付け加えた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Grayscale Ruling Does Not Guarantee Bitcoin Spot ETF Approval, Traders Say