ビットコイン、2万7200ドルに下落──投資家はグレイスケール勝訴の意味を熟考か

ビットコイン(BTC)は30日、前日の高値2万8000ドル超えから反落した。投資家が米証券取引委員会(SEC)に対するグレイスケールの勝訴の意味を熟考しているようだ。

ビットコインは当記事執筆時点、過去24時間で2%下落し、2万7240ドル付近。イーサリアム(ETH)は1.7%下落し、1700ドルをわずかに上回る付近。暗号資産市場全体のパフォーマンスを表すCoinDesk Market Index(CMI)は2.4%下落。

カルダノ(ADA)、ソラナ(SOL)、ポリゴン(MATIC)は、主要アルトコインの中で下落を主導して4%近く下落し、29日の上昇分のほとんどを失った。

米連邦控訴裁判所は、140億ドル(約2兆円、1ドル145円換算)規模のグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)をビットコインETF(上場投資信託)に転換するというグレイスケールの申請を却下したことを見直すようSECに命じ、暗号資産価格と関連する株式の上昇を後押しした。

市場関係者は、この判決を画期的な勝利と評価し、ビットコイン現物ETFへの道を開く可能性があると見ている。この夏、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)をはじめとする複数の会社が、SECにビットコイン現物ETFの申請を行った。とはいえ、判決はグレイスケールの申請やブラックロックなどの申請が承認されることを保証するものではない。

ビットコイン上昇の持続可能性は?

29日の価格上昇がどのくらい持続可能かを判断することは時期尚早だが「若干の反転が見られるかもしれない小さなサインがいくつかある」と、調査会社カイコ(Kaiko)のリサーチ・ディレクター、クララ・メダリー(Clara Medalie)氏はCoinDeskTVで語った。

注目すべきは、他の「ミニ強気相場」に比べると、取引所での取引高が控えめで、2週間ぶりの高水準に上昇したに過ぎないとメダリー氏は述べた。取引高は市場参加者の市場への関与を示すものであり、取引高が乏しいことは、この動きの背後にある何らかの弱さを示している可能性があると同氏は説明した。

しかし、ビットコインの平均買い注文は6月以来の高水準に達し、大口投資家の動きを示唆、メダリー氏はこれを「グッド・ニュース」と評価した。

「ETF承認への高まりは間違いなく、市場が今必要としている強気のきっかけになるかもしれない。かなりの数の倒産や訴訟が進行中で、業界はまだ、激動の真っ只中にある」(メダリー氏)

市場アナリストのガレス・ソロウェイ(Garreth Soloway)氏は、ビットコイン価格が8月中旬に下落する前の水準である2万8000ドルを決定的に上抜けできない場合、価格はさらに下落すると予想した。

「2万8000ドルはビットコイン価格がブレイクダウンした価格水準。調整後、価格がそのレベルまで戻ることは珍しくない。ビットコインは現在の水準から下降する可能性がまだ最も高く、横ばい推移の期間が長ければ長いほど、価格が下落する可能性はさらに高くなる」

注目すべきサポート・レベルは、ブラックロックがビットコイン現物ETFを申請した6月中旬の価格である2万5000ドル前後だとソロウェイ氏は付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Slips to $27.2K, Cryptos Dip as Investors Digest Grayscale’s Court Win