イーサリアムブロックチェーンは新しいテストネット「Holesky」を9月15日にスタートさせることに失敗し、歴史的なアップグレード「マージ(Merge)」の1周年を祝うはずだった技術的なイベントに泥を塗った形になった。
イーサリアムのコア開発者によると、ネットワークを生成するためのファイルの1つに設定ミスがあったという。一部のバリデーターは手動でテストネットをスタートさせることができたようだ。
テストネットのローンチは約2週間延期された。
We had a misconfiguration in the el genesis file and that led to the holesky network improperly launching. Some validators manually fixed the config and were able to start the chain, but not enough for the network to finalize. https://t.co/5fchlRBCP3
— parithosh | 🐼👉👈🐼 (@parithosh_j) September 15, 2023
イーサリアムブロックチェーンにとっては、珍しい失敗だ。この1年間、「マージ」や4月の「シャペラ(Shapella)」など主要なアップグレードをスムーズに実施してきた。しかも、急成長するセカンダリーネットワーク、いわゆるレイヤー2ブロックチェーンを取り込みつつだ。
イーサリアムブロックチェーンはビットコインブロックチェーンに次いで2番目に大きなブロックチェーンだが、スマートコントラクトをサポートできるブロックチェーンの中では最大規模であり、注目されている。スマートコントラクトとは、コンピューターのようにアプリケーションを実行できる機能を言う。
Goerliは2024年はじめに廃止
テストネットはメインブロックチェーンのクローンであり、メインブロックチェーンに新機能などを展開する前にトランザクションをシミュレートしたり、アプリケーションをテストするために使用される。イーサリアムブロックチェーンは、現在のテストネットのひとつ「Goerli」をリプレースするために新しいテストネット「Holesky」を作成した。
Goerliは2024年はじめに廃止される予定だ。
Holeskyはイーサリアムブロックチェーンのスケーリング問題を解決するためのもので、開発者はメインネットと比較して2倍の数のバリデーターが参加できるようになることを狙っている。
「修正によって(Goerli)ネットワークを(問題に対応できるように)復活させることは可能だが、何年も稼働する新しいネットワークになることを考えると、新しく始める方がおそらくクリーンだと判断した」とイーサリアム財団のデブオプス(DevOps)エンジニア、パリソシュ・ジャヤンティ(Parithosh Jayanthi)氏は語った。
Holeskyはまた、イーサリアムブロックチェーンの次の大型アップグレード「デンクン(Dencun)」でも重要な役割を果たすと考えられている。デンクンでは、ブロックチェーンのスケーリングを目的とした新機能「プロトダンクシャーディング」が稼働する予定だ。
ジャヤンティ氏はCoinDeskに対して、Holeskyのローンチが延期されたとしても「デンクンにはまったく影響しない」と述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Pixabay
|原文:Ethereum’s Holesky Testnet Fails To Launch, in Rare Tech Misstep for the Blockchain