イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏を含む大口保有者が、イーサリアム(ETH)を暗号資産(仮想通貨)取引所に移したことが売却の前兆ととらえられ、ビットコイン(BTC)に対するイーサリアムの価格は14カ月ぶりの安値に下落した。
トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、イーサリアム/ビットコイン(ETH/BTC)は19日に0.0602近くまで下落し、7月以来の安値となった。
アナリストは弱気予想
最近のプライスアクションでは、2022年9月に始まったトレンドが続いており、イーサリアムに対するアナリストの弱気な予測を裏付けた。
暗号資産サービスプロバイダー、マトリックスポート(Matrixport)の戦略・リサーチ責任者であるマーカス・ティーレン(Marcus Thielen)氏は18日にCoinDeskTVで、イーサリアムのプロトコル収入がここ3カ月間減少していると指摘。ビットコインのパフォーマンスが引き続きイーサリアムを含む暗号資産市場全般より高くなると予想した。
IntoTheCryptoverseの創設者で人気の暗号資産アナリスト、ベンジャミン・コーウェン(Benjamin Cowen)氏はX(旧Twitter)で、ビットコインに対するイーサリアムの価値が崩れる可能性があるとの見方を示した。
イーサリアムのクジラに売却の動き
最近の価格下落は、一部のクジラが最近総額6000万ドル相当(約87億円、1ドル145円換算)のイーサリアムを暗号資産取引所に入金したことで発生しており、さらなる下落が警戒される。
クジラは情報通であるとみなされており、市場に多大な影響力を持っているため、市場参加者はクジラのオンチェーン操作を注意深く監視している。取引所への資産の入金は通常売却の意図を示し、出金は資産の蓄積を示す。
ブロックチェーンセキュリティ企業ペックシールド(Peckshield)が指摘したブロックチェーンデータによると、直近ではブテリン氏が19日に300ETH(約7148万5000円)を暗号資産取引所クラーケン(Kraken)に送金している。この入金はかなり少額ではあるものの、イーサリアムに対するブテリン氏の知名度を加味し、暗号資産ウォッチャーの間で憶測が広まった。
オンチェーン分析会社Lookonchainによれば、別の大口保有者が過去4日間で大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)、OKX、クーコイン(KuCoin)に合計3万ETH(約72億5000万円)を入金した。
Lookonchainはまた、9年前にICO(Initial Coin Offering)でイーサリアムを取得したウォレットが18日に6000ETH(約14億5000万円)をクラーケンに入金したことも指摘した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:TradingView
|原文:Ether Drops to 14-Month Low Against Bitcoin as Vitalik Buterin, Ethereum Whales Send $60M ETH to Exchanges