KONAMI、日本円で取引できるNFTマーケットプレイス「リセラ」発表──外部提供も視野に

コナミデジタルエンタテインメントは9月21日にスタートした「東京ゲームショウ2023(TGS2023)」において、同社初のweb3プロジェクト「PROJECT ZIRCON(プロジェクト・ジルコン)」につづき、NFTマーケットプレイス「リセラ(Resella)」を発表した。

会場でひときわ存在感を放っていた同社ブースに設けられたステージに、「PROJECT ZIRCON」の2人のファウンダーである黒田康平(Kuro)氏と城石啓太(Shiro)氏、そして同社web3事業部長の金友健氏が登壇。まずKuro氏が「Community is game. 冒険と創造の毎日を」をメッセージに掲げた「PROJECT ZIRCON」の概要を説明。

「ある星を舞台とした新作ゲームをユーザーの皆さんと一緒に作り上げていくweb3プロジェクト」であり、「ゲーム制作をしていく過程はめちゃくちゃ楽しい。それを皆さんにも体験して欲しい」と述べた。

「PROJECT ZIRCON」は現在、コミュニケーションツール「ディスコード」のコミュニティを核に進行しており、世界観についての情報などを公開している。

「先週、事前告知を行い、今日の発表までに100人くらい集まってくれたらいいなと思っていたが、すでに4000人に参加してもらっている。これからどんどん盛り上がっていく予感がしている」とShiro氏はユーザーからの期待の大きさに触れた。

コミュニティをゲーム化するというユニークなアイデアについては、他社との差別化や独自性を意識したわけではなく、「NFTを使って面白いことができないかをただただシンプルに考えていった結果、まわりを見渡したときに独自性の高いものになった」と登壇後のインタビューで2人のファウンダーは語っている。

ユーザーのハードルを解消

ステージでは続いて、金友氏が「PROJECT ZIRCON」をはじめ、KONAMIのブロックチェーンゲームを支える仕組みとなるNFTマーケットプレイス「リセラ(Resella)」をプレゼンテーション。

「私たちが提供したいものは、体験であり、価値ある時間。そのためにはユーザーがブロックチェーンやNFT、ウォレットなど、web3系のものを知らなくても、NFTとしてのアイテムを使ったり、買ったり、売ったりすることが自然とできるような世界観を提供したい」と述べた。

NFTゲームでは多くの場合、アイテムを購入するには、まず対応した暗号資産(仮想通貨)を購入する必要があり、初心者にとっては大きなハードルとなっている。「リセラ」は、円でNFTを購入でき、ガス代(取引手数料)も不要、ウォレットを別途事前に用意する必要もないという。

「面倒な手続きは、すべて裏側でシステム化」しているため、リセラをゲームやサービスに実装すれば、ユーザーはこれまでどおりゲームやサービスを利用し、必要に応じてアイテムやキャラクターをマーケットプレイスで売買できるようになる。「もうNFTと称する必要はないかもしれない」と金友氏は続けた。

「ゲームやサービスとここまでシームレスにマーケットプレイスがつながっている。そして、日本円で売買できるというサービスは、おそらくまだあまりないと思う」

外部への提供も

さらに「リセラ」が「PROJECT ZIRCON」をはじめ、さまざまなゲームやサービスに実装されていけば、「結果的に1つのNFTに、いろんな利用価値を備えた複合的なNFTが登場するかもしれない。そういう未来もイメージをしている」と述べ、「リセラ」をKONAMI以外のゲームやサービスなどでも利用できるようにしていくとした。

自社サービスにNFTを導入したいが、ユーザーにとってハードルが高い仕組みは避けたいと考えているのであれば、ぜひ「リセラ」の導入を検討して欲しいとアピール。ゲームや会員サービス、さらにはリアルアセットのNFT化など、いろいろなサービスに対応可能で、KONAMIのゲームとの相互送客も可能になると述べた。

「今日はTGSなので、サービスの話がメイン。web3界隈の方は、チェーンやウォレットの詳細、あるいは海外の方は日本円以外の対応など、気になることがたくさんあると思う。リセラはPROJECT ZIRCONと一緒にサービスローンチを予定しているが、もう少し時間がある。システムまわりなどは、また別の機会でお伝えしたい」

日本円での購入、NFTを核にしたサービス展開の可能性、KONAMIに限らないオープン性など、「リセラ」はゲームというキラーコンテンツを武器に、現状のweb3に存在するハードルをクリアし、web3のメリットを活かしつつ、web3のマスアダプションを実現する第一歩になるかもしれない。

さらに登壇後のインタビューで金友氏は「私たちはリセラをプラットフォームとしてビジネス展開していくためではなくて、今、自分たちがやりたいことをするために必要なものがないから開発した。同じように使いたい方がいれば、ぜひ使っていただき、結果的にユーザーにとって利便性に優れた世界が実現できればいいと考えている」と語った。

|文・写真:CoinDesk JAPAN編集部