日本銀行が世界の市場の流れに大きな変化を引き起こす可能性が高まっているため、FRB(米連邦準備制度理事会)を超えて行動しよう。これは、暗号資産管理会社ブロフィン(Blofin)のボラティリティトレーダーであるグリフィン・アーダーン(Griffin Ardern)氏からのメッセージだ。
日銀が「驚かせる」可能性
アーダーン氏はCoinDeskに対し、「将来的には日銀が最も大きな不確実要因になると思う。FRBであれ欧州中央銀行(ECB)であれ、彼らの政策方針は明確だが、日銀はそうではない。つまり、日銀は予想を超えて我々を『驚かせる』可能性が高い」と述べた。
日銀は2016年以来、イールドカーブ・コントロール(YCC)として、短期金利をマイナス0.1%、10年国債利回りを0%程度に誘導している。10年国債利回りの誘導目標の上下0.5%の許容範囲も設定した。7月には、利回りが1.0%を下回る限りこの上限を上回る上昇を容認すると発表した。
こうした流動性拡大政策は、長年にわたり世界の債券利回りに低下圧力を加え、世界の流動性を数兆ドル増加させてきた。長年にわたる緩和バイアスの継続により、円で借り入れて高利回りのリスク資産に投資するキャリートレードが普及した。
そのため、マイナス金利政策と日銀によるイールドカーブ・コントロールが解除される可能性があれば、日本円が上昇し、暗号資産を含むリスク資産に波及効果が生じる可能性がある。FRBやECBなどの引き締めサイクルはピークに達したと広く考えられている。一方、日銀はまだ金利を動かしていない。
キャリートレードで購入された資産が売却
アーダーン氏は、「日銀が超金融緩和政策の解除を始めると、これまで円と米ドルの裁定取引チャネル(キャリートレード)を通じて取得されていた多くの資産が、円建ての負債を返済するために売却される可能性がある。それがひいては暗号資産市場に予期せぬ影響を与える可能性がある」と指摘した。
チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)氏も今年初めに同様の見解を示し、キャリートレードはすぐに解除され、「複数の市場にまたがる大幅なボラティリティ」につながる可能性があると述べた。
ロイターが9月8~19日に実施した調査では、エコノミストのほとんどが、日銀が来年マイナス金利政策を終了し、イールドカーブ・コントロールを廃止すると予想している。
INGによると、日銀は22日に最終的にはタカ派的になる動きを示唆する可能性がある。
INGはForexLiveで、「日銀は(22日に)現状維持をする可能性が高い。しかし、予想を上回るインフレと円安が世界的な原油価格の上昇と相まってインフレをさらに押し上げたことにより、市場に微妙なタカ派的メッセージを送る可能性がある」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Bank of Japan a Major Source of Uncertainty, Crypto Volatility Trader Says