バイナンスUSとチャンポン・ジャオ氏、SECの提訴却下を申請

大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンス(Binance)とバイナンスUS(Binance.US)、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は21日、米証券取引委員会(SEC)がさまざまな証券関連の違反を「信じるに足るように主張」しておらず、議会が法律で明確に規定していないにもかかわらずデジタル資産をその権限の範囲内に含めようとしていると主張し、SECの提訴の却下を申請した。

SECの行き過ぎを主張

SECは6月、バイナンスとジャオ氏、バイナンスUSを、アメリカの投資家による取引や投資を目的として未登録証券をいくつかの暗号資産の形で違法に上場させたとして提訴していた。この提訴により、誰がバイナンスUSの顧客資金にアクセスできるのかをめぐって直ちに法廷闘争が始まった。21日に提出された書類の中で、バイナンスとバイナンスUSの弁護士らは、証券法違反を主張することによってSECが行き過ぎていると指摘した。

提出書類の一つでは、「SECは最近、事実上すべての暗号資産、および事実上すべての暗号資産取引は証券であるという新たな立場を前提として、今回の訴訟を含むいくつかの執行訴訟を提起した」と主張されている。また別の提出書類では、SECが「投資契約」という用語を広く定義しすぎていると記載されている。

重要問題法理についても提起

どちらの提出書類でも、いわゆる「重要問題法理(Major Questions Doctrine)」をめぐって同様の主張が提起されている。これは連邦機関に対し、重要な経済的または政治的問題については議会の権限を待つよう指示した最高裁判所の判決である。

提出書類は、「実際議会は2019年以来、暗号資産とその取引プラットフォームに対して一貫した実行可能な枠組みを提供する十数件の提案を検討してきた」と指摘。「重要なことだが、これらの提案はいずれも、暗号資産業界に対する唯一の規制上の管轄権をSECに与えるものではない。それにもかかわらず、SECは現在その権限を拡大しようとしており、特にバイナンス・ホールディングス・リミテッド(「BHL」)とチャンポン・ジャオ氏に対する申し立てを主張してこの訴訟を起こした」と主張した。

この主張は法廷で意見が分かれている。議会はデジタル資産の規制上の扱いを明確にする必要があると判断する判事がいる一方で、暗号資産は重要問題法理を満たすほど重要ではないと判断する判事もいる。下院金融サービス委員会は暗号資産に特化した法案をいくつか下院本会議での採決に進めたが、上院を通過するかどうかの見通しははっきりしない。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Binance, U.S. Affiliate, Changpeng ‘CZ’ Zhao File to Dismiss SEC Lawsuit