柴犬コインのダミートークン、本物のプロジェクトとして復活

開発者によって無価値とみなされたトークンが、信奉者の「軍団」によって本格的なプロジェクトとして復活するのは、暗号資産(仮想通貨)の世界だけだろう。

カルシウム(CAL)は、ガバナンストークンのBONEのコントラクトを放棄する計画の一環として柴犬コイン(SHIB)のチームによって作成された、いわゆるダミートークンで、9月22日の早朝に開発者によって発行された。その供給量の50%以上が、計画された動きの一環として、稼働直後にボットによって拾われ、このトークンは分散型取引所(DEX)のShibaSwapで稼働していた。

トレーダーたちは手っ取り早く儲けようとこのトークンを購入したが、結局は損をすることになった。柴犬コミュニティのメンバーの中には、このトークンは投資可能な資産として意図されていないため、購入しないように警告する者もいた。

しかし、お金を失ったと主張するコミュニティメンバーの集団が、保有するCALを使ってユニスワップ(Uniswap)で新しい取引ペアを作り、トークンは12時間足らずですぐに1400人以上の保有者を見つけた。この新しい取引ペアの参加者は「柴犬コインの約束にはうんざりした」と言い、カルシウムを本物のプロジェクトにするつもりだと語った。

このため、オリジナルのCALの価格は99%下落し、ShibaSwapでのオンチェーン流動性はわずか4800ドル(約69万6000円、1ドル=145円換算)だった。しかし、ユニスワップ上のCALは400万ドル(約5億8000万円)の取引高を記録し、流動性は16万4000ドル(約2378万円)に達した。

ユニスワップのCALは、200万ドル近い時価総額で推移している。(DEXTools)

カルシウムはいかにして生まれたか

柴犬コインの開発者は先週の投稿で、新たに立ち上げられたシバリウム(Shibarium)ブロックチェーンのガバナンストークンであるBONEの所有権を放棄するためにCALを発行すると述べた。

暗号資産の世界では、スマートコントラクトを放棄することは、コントラクトの作成者がコントラクトをコントロールできなくなることを意味し、コントラクトの変更や更新ができなくなるため、投資家に安心感を与える。

「このトークンは、BONEのミントとバーンという特定の目的のためだけに作成されている」と開発者は述べた。「このトークンは将来的な価値や必要性がないため、取引しないでほしい」。

「もし誰かがこれを売っていたら、詐欺だと思っていい」と開発者のKaal Dhairya氏は述べていた。

しかし、暗号資産プロジェクトは開発者の推薦を必要としない。コミュニティメンバーはどのトークンにも賛同し、分散型取引所(DEX)で流動性を与え、外部の開発者を集めてユースケースに取り組むことができる。

「人々は購入し、流動性を追加し、テレグラムでチャットした。その後、コミュニティとエコシステムに対する行為により、それが柴犬開発チームに対する運動に発展した」とカルシウムコミュニティの中心メンバーである@1BlockChainKingはXに投稿した

暗号資産の世界では退屈な日は1日もない。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Shiba Inu Developers Floated a Dummy Token and Now Activist Traders Are Making It a Real Thing