イーサリアムブロックチェーンでの活動が急減少する中、イーサリアム(ETH)はインフレ状態に戻っており、価格の下押し要因となる可能性がある。複数のアナリストがこうした見方を示した。
過去のデフレ傾向が反転
分析会社IntoTheBlockのデータによると、ブロックチェーン使用量の指標となるネットワーク料金は先週9%以上急落し、9カ月ぶりの低水準となる2210万ドル(約32億450万円、1ドル145円換算)となった。
その結果、新規発行されるイーサリアムよりもトランザクション(取引)を検証するためにバーンされたイーサリアムの方が少なくなり、供給量が増加していることがUltrasound.moneyのデータで判明した。
IntoTheBlockのリサーチ責任者であるルーカス・アウトミュロ(Lucas Outumuro)氏はCoinDeskに対し、ネットワーク料金の低下はレイヤー2ネットワークの採用が要因の一つとなっており、短期的には継続する可能性が高いと指摘した。
IntoTheBlockはレポートで、過去1カ月間に供給量が増加し、デフレ傾向が反転しているため、イーサリアムに対するある程度の圧力になっている可能性があるとの見方を示した。
イーサリアムのデフレ説は、昨年行われた主要なアップグレードであるMergeの後に浮上した。Mergeではコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行し、イーサリアムの供給の力学が大きく変わった。
ネットワークが混雑する時期には、新規発行されるよりも多くのイーサリアムがバーンされ、供給量を抑える。これは通常、価格に対する強気要因であると考えられる。一方、ネットワークの需要が低い場合は逆になる。
弱気な見方も
IntoTheBlockは、イーサリアム弱気派に加わった
JPモルガン(JPMorgan)のアナリストらは先週のレポートで、トランザクション数、アクティブアドレス、Total Value Locked(TVL:預かり資産)が4月以降減少しており、期待されていたイーサリアムブロックチェーンの上海アップグレードはネットワーク活動を増加させることができなかったと指摘した。
暗号資産サービスプロバイダー、マトリックスポート(Matrixport)は22日、ビットコイン(BTC)と比較した場合のイーサリアムの弱気な見通しを改めて表明。「驚くほど低い収入」と次のアップデートに関する「話題性のなさ」を理由に挙げた。同社は今月、このトレンドが続けばイーサリアムが1000ドル(約14万5000円)まで下落する可能性があると予測した。
イーサリアムは最近1591ドルで取引されており、ビットコインに対して14カ月ぶりの安値に下落した。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Ether Turns Inflationary as Network Revenue Plunges to 9-Month Low