ドージコイン、価格の安定性でビットコインを上回る──投資家の関心の低さを反映か

ミームコイン最大の時価総額を誇るドージコイン(DOGE)は、ボラティリティが大幅に低下し、ビットコイン(BTC)よりも安定しているようだ。

トレーディングビュー(Trading View)によると、ドージコインの30日リアライズド・ボラティリティは当記事執筆時点で30%、ビットコインの35%よりも低くなっている。リアライズド・ボラティリティは、特定の期間における資産価格の変動率を示す指標として用いられる。

ドージコインは従来、ビットコインよりもボラティリティが高く、リスク回避型の投資家にとっては危惧すべき存在だった。ビットコインはこの3年間で機関投資家の参入が進み、マクロ資産として進化してきたからなおさらだ。一方、ドージコインは2013年の誕生当初、不真面目な暗号資産プロジェクトと見なされていた。

Trading View/CoinDesk

ドージコインがボラティリティの低い資産として新たな地位を獲得したことは、市場の成熟と捉えるべきではなく、おそらくアルトコインに対する投資家の関心の低さに起因している。

ビットコインのドミナンス(暗号資産市場全体におけるシェア)は今年、40%から50%に急上昇しており、アルトコインからビットコインに流動性が流出していることを示している。CoinDeskのデータによると、ビットコインは今年60%上昇したが、ドージコインは12%超下落している。

1%マーケットデプス(1% market depth)のような流動性指標も同じことを物語っている。この指標は、主要暗号資産取引所における全オーダーブックの中間価格の1%以内のビッド(売却価格)とアスク(購買価格)を測定したものだ。

Kaiko

暗号資産市場調査企業カイコ(Kaiko)によると、トップ10のアルトコインの1%マーケットデプスは、先月末時点でビットコインとイーサリアム(ETH)を下回っていた。

暗号資産市場全体の取引高は減少しており、現物(スポット)市場の取引高は8月、4年ぶりの低水準となる4750億ドル(約69兆円、1ドル145円換算)となった。

ドージコインなどの流動性の低さは、時価総額の小さな暗号資産に対する規制の見通しが不透明であることが要因。今年初め、米証券取引委員会(SEC)は、コインベース(Coinbase)とバイナンス(Binance)を提訴するなかで、複数のアルトコインを有価証券と名指しした。

ドージコインと柴犬コイン(SHIB)は言及されなかったが、アルトコインに対する規制強化の可能性は、いずれドージコインや柴犬コインにも影響を及ぼすだろう。

|翻訳:清水マキ
|編集:増田隆幸
|画像:Unsplash
|原文:Dogecoin Beats Bitcoin in Price Stability Amid Crypto Trading Lull