大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンス(Binance)のリキッドステーキングイーサリアムであるラップドバイナンスイーサリアム(WBETH)に先週末、突如約5億ドル(約750億円、1ドル150円換算)が流入し、預かり資産(Total Value Locked:TVL)が12億ドル(約1800億円)に達した。DefiLlamaのデータで判明した。
断続的でまとまった量が特徴
ブロックチェーンデータによると、合計31万8180WBETHが先週末23日と24日に5回に分けて発行され、1回あたりの金額は約1億ドルだった。WBETHはその後、バイナンスがユーザーの資産を保管するコールドウォレットの「Binance 8」に入れられた。
今月これ以前にも5億7300万ドル(約859億5000万円)の資金が流入していたため、この動きの一見不規則な性質について暗号資産ウォッチャーの間で議論が巻き起こった。競合する米暗号資産取引大手のコインベース(Coinbase)のリキッドステーキングイーサリアムであるcbETHでは過去数週間毎日定期的な流入と流出が見られたが、WBETHへの流入は断続的かつまとまった量で発生している。
BETHからWBETHへの変換が要因
バイナンスはソーシャルメディアへの投稿で、このトランザクション(取引)は、バイナンスが元々発行していたステーキング済みイーサリアム(BETH)を段階的にWBETHに変換するという以前に発表された行動の一環であると説明した。
バイナンスは4月、WBETHと呼ばれるBETHのアップグレード版を導入した。これは、投資家がステーキング報酬を獲得しながらバイナンス外部の分散型金融(DeFi)プロトコルでのレンディングにWBETHを利用できるリキッドステーキングのデリバティブ商品となる。ユーザーがバイナンスを通じてステーキングに参加するためにイーサリアムをロックアップ(ステーキング)すると、ステーキングされた資産を表すデリバティブトークンを受け取る仕組み。
バイナンスは1カ月前、バイナンスのウォレットに保持されているBETHを「段階的に」バーンさせるなど、新しいWBETHの利用を促進し、古いBETHの活動を抑制するためのいくつかの措置を発表した。
ブロックチェーンデータによると、バイナンスは25日に33万BETHをバーンしており、これは先週末に発行されたWBETHの量とほぼ同じであるため、バイナンスを通じてステーキングされたイーサリアム全体の量に実質的な変化はなかった。
暗号資産投資会社21SharesのDuneダッシュボードによると、バイナンスは120万ETHをステーキングしており、イーサリアムブロックチェーンのステーキングネットワークでリド・ファイナンス(Lido Finance)やコインベースに次ぐ最大規模のプレーヤーの1つ。DefiLlamaのデータによると、ステーキングされたイーサリアムのうち約76万5000ETHがWBETHとなっている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:DefiLlama
|原文:Binance’s Liquid Staked Ether Jumps to $1.2B in TVL After Sudden $500M Inflow