マネックス証券は、NTTドコモおよび親会社のマネックスグループとの間で、資本業務提携契約を締結したと10月4日に発表。2024年1月4日(予定)以降、マネックス証券の連結会計上の親会社はNTTドコモに変わるという。マネックスグループもマネックス証券の株式の約51%を間接的に保有し続けるとしている。
リリースによると提携は、証券会社の既存のビジネスモデルを進化させ、お客様に最も選ばれる新たな資産形成サービスを創出・提供することが目的。現時点の業務提携の内容として、以下の5点をあげている。
- 初めての方にも手軽で簡単な資産形成サービスの提供
d払いアプリを通じて、初心者向け資産形成サービスを提供。投資初心者を中心としたユーザーニーズを踏まえ、パーソナライズされた情報・商品を継続的に提供することで、着実な資産形成をサポートする。
また、dポイント・d払い・dカード・dアカウントなどNTTドコモのサービスとマネックス証券のサービスの連携を強化する。 - NTTドコモとマネックス証券のデータを活用した一人ひとりへの最適な商品の提案
NTTドコモが保有する9600万会員のデータとマネックス証券のデータを掛け合わせ、お客さまのニーズを可視化しパーソナライズ化されたコミュニケーションを実現すべく、金融CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)を推進。 - NTTドコモのメディアやドコモショップを通じた投資情報・金融教育サービスの提供
お客様の投資知識・金融リテラシーの向上を目的とした、さまざまな教育コンテンツの提供やセミナーを実施。 - AIによるお客さまサポート
AIを活用し、投資に関するお悩みの解決に向けたサポートを実施。 - STO(セキュリティ・トークン・オファリング)などの次世代金融商品の取り扱い
変容するさまざまなニーズに対応すべく、先進的な金融商品の開発・販売を検討。
通信キャリアが金融サービスを強化する動きは、ますます激化している。直近ではauは「マネ活」を、ソフトバンクはPayPayとの連携を強めて新料金プラン「ペイトク」を打ち出している。楽天モバイルが「楽天経済圏」との連携を強化していることは言うまでもない。
金融のデジタル化が進み、スマートフォンが事実上「ウォレット」の役目を果たしている今、NTTドコモとマネックス証券の業務提携は、金融サービス面でライバルの先行を許した感があったNTTドコモにとって、重要な一手といえるだろう。
5つ目ではあるが、業務提携の内容に「STO」があげられ、セキュリティ・トークンなどの開発・販売も視野にあることも注目される。またマネックスグループの傘下には国内大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックがあり、今後、暗号資産領域でも何らかの進展が見られるかもしれない。
|文・編集:増田隆幸
|画像:リリースより