ソーシャルメディア大手フェイスブック(Facebook)によるステーブルコイン「リブラ(Libra)」を裏付ける法定通貨の詳細が浮上しつつある。
フェイスブックは、リブラが中国の影響を受ける可能性に対する懸念を受け、米上院議員らに対して書簡を提出した。ブルームバーグ(Bloomberg)が2019年9月9日(現地時間)に報じた。民主党のマーク・ワーナー(Mark Warner)上院議員(バージニア州)は以前フェイスブックに対して、ステーブルコインのリブラを裏付ける資産のバスケットから中国の人民元を除外することを求めていた。
ブルームバーグによると「(リブラを裏付けする)『リブラ・リザーブ(Libra Reserve)』に新しい通貨を追加するかどうかの判断は、直接的、もしくは間接的な規制上の制約を含め、その時点での全ての事実と状況に基づいて下されます」とフェイスブックは記した。また、その判断は同社ではなく、リブラの運営・開発を目的に設立されたリブラ協会(Libra Association)によってなされるものであることも付け加えたと報じられている。
ブルームバーグによると、フェイスブックはリブラ・リザーブに含める可能性のある通貨のリストを提出したが、人民元が除外されると明言するまでには至らなかった。
そのリストには、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、そしてシンガポールドルが含まれていた。
フェイスブックのブロックチェーン責任者、デビッド・マーカス(David Marcus)氏は、米下院金融サービス委員会の公聴会にて、リブラを裏付けるバスケットの50%は米ドルとなり、残りの50%は安定したソブリン通貨や低リスク資産で構成される、と述べた。
物議を醸すローンチ
フェイスブックはリブラの構想を今年6月に初めて公表し、2つのトークンを作り出す、と発表した。法定通貨に裏付けられたステーブルコインと、リブラ協会の加盟企業がネットワークを監督するために利用できるセキュリティトークンの2つだ。
リブラプロジェクトは発表から間もなくして、世界中の規制当局から反発を受けた。アメリカやその他多くの国の規制当局は、政治家らが示した疑問が解決するまでは、リブラの開発を中止することを即座に同社に要求した。
フェイスブックのマーカス氏は7月、下院金融サービス委員会と上院銀行委員会の公聴会で証言を行い、リブラが世界の金融システムを不安定にすることはないと議員らを安心させようとした。
フェイスブックは規制上の懸念がすべて解消するまではローンチはしないとしつつも、プロジェクトの開発は続行すると誓約している。
翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Facebook image via Shutterstock
原文:Facebook Adds Singapore Dollar to Libra Crypto Basket: Report