分散型融資プラットフォーム「ゴールドフィンチ(Goldfinch)」の融資プールで2000万ドル(約30億円、1ドル150円換算)相当のトークン化ローンが破綻した。プールマネージャーのワーブラー・ラボ(Warbler Labs)が7日にプロトコルのガバナンスフォーラムの投稿で明らかにしたもので、借り手であるフィンテック・クレジットファンドのストラトス(Stratos)による不動産テック企業とデジタル資産への投資が「期待通りに機能しなかった」ことを受けたものだという。
回収が困難になったプールでは、2022年2月にストラトスに対し、2000万ドル相当のステーブルコインUSDコイン(USDC)を年利11%で4年間融資した。引受会社はワーブラー・ラボだった。
ワーブラー・ラボは、現在は資金のうち約700万ドル(約10億5000万円)が損失の危険にさらされていると明らかにした。
不動産テック企業とデジタル資産に投資
投稿によると、ストラトスは資金のうち500万ドル(約7億5000万円)をアメリカの主要都市でのアパート賃貸に注力する不動産テック企業REZIに割り当てたが、同社は現在支払いを停止しており、ポジションをゼロに減損する予定だという。
また、200万ドル分はPOKTと呼ばれる「デジタル資産投資」に割り当てられたが、ワーブラー・ラボは「投資当時には認識していなかった」と述べた。ストラトスはこのポジションを「ほぼ全額損失」で売却し、不足分を補うために融資の担保を追加した。
ワーブラー・ラボは、プール内の投資家に対する損失をすべて補填すると表明した。
ワーブラー・ラボの共同創設者マイケル・サル(Michael Sall)氏とブレイク・ウェスト(Blake West)氏は投稿で、「控えめに言ってもこれは残念で予想外だ」とし、「ワーブラー・ラボは回収の全リスクと責任を負い、ワーブラーとストラトスのポジションを除き、REZIとPOKTに関連する損失を補填することを決定した」と述べた。
残りの1300万ドル(約19億5000万円)は、電子商取引マーケットプレイス管理のスタートアップであるスリーコルツ(Threecolts)に割り当てられており、同社は「好調な業績を上げている」という。
RWAのリスクが浮き彫りに
今回のローンの破綻は、資本流入が枯渇する中で興奮できるものを求めている暗号資産業界の最新トレンドの1つとなっている、プライベートクレジットなどのトークン化された現実資産(RWA)のリスクを浮き彫りにしている。また、特に昨年暗号資産取引会社に対するローンの不履行が相次いだことを受けて、ブロックチェーンベースのRWA融資プロトコルで実行されるデューデリジェンスのプロセスも厳しい監視が行われることになる。
今回の事件以外にも、ゴールドフィンチのプールでは今年別の信用事件が起きていた。アフリカのバイクタクシー金融会社トゥゲンデ(Tugende)が10月に満期を迎える500万ドル(約7億5000万円)のローンで債務不履行に陥った。ゴールドフィンチのガバナンスフォーラムでの投稿によると、借り手は関連会社の経営難を食い止めるためにインターカンパニーローンを行うことでローン約款にも違反したという。
匿名ユーザーのWiz氏は7日にガバナンスフォーラムで、「借り手の透明性の欠如やゴールドフィンチの監査能力の欠如はこれで2度目だ」と指摘。「ワーブラー・ラボが損失を補填することは誰もが理解できるが、特にストラトスがゴールドフィッチの株式投資家であるという状況において、ローン引受会社による完全なコントロールの欠如が判明することがますます懸念される」と述べた。
別のユーザーmans9841氏はフォーラムの投稿で、「風評被害のリスクがある」とし、「RWAの物語はまだ進み始めたばかりであり、これほど多くを築き上げてきたので失望するわけにはいかない」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
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|原文:Real-World Asset Loan Worth $20M Sours on DeFi Platform Goldfinch, Bringing RWA Lending Under Scrutiny