ETH/BTCレシオ、ETFによるセンチメント上昇に失敗して15カ月ぶりの低水準に
  • 高金利環境下で、投資家はビットコインよりイーサリアムを引き続き好んでいる。
  • 先週上場したイーサリアム先物ETFの上位2銘柄の出来高は惨憺たるものだった。

イーサリアム/ビットコイン(ETH/BTC)レシオは、最近開始された先物ベースのイーサリアム上場投資信託(ETF)に対する有意義な需要がない中、下落を続けている。

チャートプラットフォームのTradingViewによると、ETH/BTCは10月9日遅くに0.05675まで下落し、2022年7月以来の最低を記録した。この比率は、イーサリアムが昨年9月中旬に「Merge(マージ)」を行って以来、30%近く低下している。

先週、アメリカでは6つものイーサリアム先物ETFが取引を開始し、時価総額第2位の暗号資産(仮想通貨)を直接所有せずにエクスポージャーを得ようとするトレーダーに門戸が開かれた。

パリを拠点とする暗号資産データプロバイダーのKaikoによると、初期の反応は鈍く、VanECKのEFUTとプロシェアーズ(ProShares)EETHの大手による2銘柄の最初の1週間の1日平均取引量は500万ドル(約7億5000万円、1ドル=150円換算)だった。

これはプロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジー(BITO)の初日取引高10億ドル(約1500億円)には遠く及ばない。このビットコイン先物ETFは、2021年10月の暗号資産強気の絶頂期にデビューした。それ以来、暗号資産市場は打撃を受けており、世界的な金利上昇により、2020年のコロナウイルスによる大暴落の後に見られた前例のないリスクテイクから脱却した。

イーサリアム/ビットコイン(ETH/BTC)レシオ(TradingView/CoinDesk)

Kaikoによると、この弱気市場がビットコインに対するイーサリアムのパフォーマンス低下の原因かもしれないという。

「ETHのパフォーマンスが低迷しているのは、弱気市場の継続的な影響によるものと考えられる。その場合、歴史的にトレーダーは最古にして最大の暗号資産であるBTCに目を向けてきた。ETHのスポット取引量も過去2カ月間ほぼ横ばいで、20億ドル(約3000億円)以上に急増したのは数回だ」とKaikoのリサーチチームは10月9日に購読者向けの週次レポートで述べている。

ビットコインに対する避難所としての需要の増加は、ビットコインの支配率、つまり暗号資産市場全体におけるシェアが、今年に入って41%から51%に増加したことからも明らかだ。

アンバーデータ(Amberdata)のデリバティブ部門ディレクター、グレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏によると、イーサリアムはビットコインに比べて金利が高い環境では不利だという。

「ETHが暗号資産のテック株で、BTCが暗号資産のゴールドだとすると、現在マクロ環境で見られる金利上昇環境は、長期デュレーションのテック株に大きな影響を与える。ゴールドも金利上昇の影響を受けるが、世界的な法定通貨の不確実性と地政学的リスクに反応して買われるだろう」とマガディーニ氏は電子メールで述べ、今後もイーサリアムのアンダーパフォーマンスが続く可能性を指摘した。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は先月、インフレ抑制のため2022年3月以降5.25%引き上げてきた基準金利を、来年も5%以上に維持する意向を示唆した。

ビットコインは、ブロックチェーンに組み込まれたコードにより、4年ごとに供給量の増加ペースを50%ずつ減らしているため、暗号資産市場ではデジタル・ゴールドと広く見なされている。いわゆる4回目の半減は来年に予定されている。

マガディーニ氏は、規制の見通しもビットコインに有利だと述べた。

「BTCは『コモディティ』としての扱いを享受しているが、ETHは不透明なままだ。この暗号資産セクターの規制問題は、ETHにより大きな影響を与える」とマガディーニ氏は指摘する。

「ETHが『コモディティ』とみなされたとしても、ETHの上に構築された分散型金融(DeFi)プロジェクトは規制の監視対象となる。規制を受けてDeFiの使用量が低下すれば、EIP-1559による健全なマネーのシナリオは使用量の低下により苦境に立たされる。ETHの最終的な価値は、純焼却から純発行に反転する将来の発行レートによって大きく影響を受けるだろう」とマガディーニ氏は付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:TradingView/CoinDesk
|原文:Ether-Bitcoin Ratio Drops to 15-Month Low as ETFs Fail to Uplift Sentiment