市場は全体的に、イスラエルとイスラム組織ハマスによる紛争の影響をまだ受けていないため、ビットコイン(BTC)は2万7000ドル(約340万5000円、1ドル150円換算)を超えてアメリカ市場を終えた。
ビットコインは過去24時間で0.73%下落し、アメリカ市場の取引終了に向けて2万7395ドルで推移。一方イーサリアム(ETH)は0.96%下落し、1546ドル(約23万2000円)で推移していた。暗号資産市場全体のパフォーマンスを表すCoinDesk Market Index(CMI)は0.9%下落した。米CoinDeskのビットコイン・トレンドインジケーター(BTI)は大幅な上昇トレンドを示しているが、イーサリアム・トレンドインジケーター(ETI)は大幅な下降トレンドを示している。
株式市場が上昇
株式市場では紛争による悪影響の可能性が2日連続で無視され、S&P500とナスダック総合指数は0.5%強上昇した。
金融調査会社ファンドストラット(Fundstrat)のマーク・ニュートン(Mark Newton)氏は10日にCNBCで、株価が底値にある可能性は十分にあるとし、買いのチャンスがあると予想している。ニュートン氏は、地政学的なイベントによる市場の下落は一時的で、その後は反発すると予想している。
大規模なアンロックが週内に予定
アプトス(APT)とエイプコイン(APE)では、大規模なアンロック(ロック解除)が予定されている。
CoinDeskが以前に報じた暗号資産分析会社The Tieの調査によると、暗号資産のアンロックにより価格は一時的に下落する可能性があるが、解放された流動性が1日の取引高の100%を超えると価格は一時的に反発し、その後2週間以内にさらに下落するという。
アプトスは11日に、現在の市場価格で約2220万ドル(約33億3000万円)に相当する454万APTのアンロックが予定されている。アプトスは日次で2.2%、週次では9%下落した。
一方エイプコインは今週、1588万ドル(約23億8200万円)に相当する1560万APEがアンロッされる予定で、日次で1%、週比では11.3%下落した。
ビットコインのドミナンス上昇
暗号資産市場全体におけるビットコインのドミナンスは大きく高まっている。トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、ビットコインのドミナンスは51%を超え、7月以来で最高となった。
LMAXグループ(LMAX Group)の市場ストラテジストであるジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は電子メールで、「最近の世界的な混乱にもかかわらず、ビットコインは並外れた強さを示し、過去30日間に対米ドルでのパフォーマンスが最も高い資産としての地位を確保した」と指摘。ビットコインのドミナンスが高まったのは、時価総額第2位の暗号資産であるイーサリアムがリスクセンチメントと強い相関関係にあることや、イーサリアムがインフレ状態に戻って供給量が増加したことにより、投資家にとってビットコインがより魅力的になったためだとしている。
イーサリアムは今週、イーサリアムブロックチェーンにおける活動が低迷し、アメリカで新たに上場した先物ETF(上場投資信託)に対する投資家の関心が乏しい中、対ビットコインで15カ月ぶりの安値を更新した。
暗号資産市場分析会社K33 Researchは11日の市場レポートの中で、デリバティブ市場のトレーダーはイーサリアムのパフォーマンスが引き続きビットコインを下回ると予想していると指摘。「理由は単に、リスクオフ環境におけるデジタルゴールドとしてのビットコインには、間もなくビットコイン現物ETFが実現する可能性があるため、分散型金融(DeFi)やNFTに関連するイーサリアムよりも魅力的であるということかもしれない」とし、「イーサリアムの活気の明確な証拠が出てくるまでビットコインを重視することが、当面はおそらく最も安全なエクスポージャーだろう」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Hovers Above $27,000 as U.S. Stocks Advance