トークン化された現実資産(RWA)、2030年までに10兆ドル規模に成長する可能性:21.co
  • 21.coによると、トークン化資産の市場は「強気の場合」で10兆ドル、「弱気の場合」でも3兆5000億ドルに達する可能性がある。
  • 暗号資産は現在成熟段階にあり、既存の金融の資金ルートとの統合が進んでいる。
  • 規制上の制限と標準化の欠如が、幅広いトークン化に向けた課題となっている。

暗号資産投資プロダクトを手がける21.coはレポートで、伝統的金融(TradFi)がブロックチェーン技術の採用を継続しているため、トークン化資産の市場は今後10年間で10兆ドル(1500兆円、1ドル150円換算)規模に成長する可能性があると述べた。

21.coは、「暗号資産と、法定通貨や株式、国債、不動産などの伝統的な資産クラスを組み合わせることは、前例のない成長を遂げている」とし、「トークン化資産の市場価値は、2030年までに弱気シナリオで3.5兆ドル(約525兆円)、強気シナリオで10兆ドルになると推定している」と述べた。

現実資産トークン化の予測が相次ぐ

プライベートエクイティ、債券、不動産などの従来の金融商品をブロックチェーン上に配置することを指す暗号資産のバズワード「現実資産(RWA)のトークン化」の可能性に関するレポートや予測は最近多数出されている。

例えば、バンク・オブ・アメリカはレポートの中で、トークン化によって既存の金融インフラが変革され、効率が向上し、コストが削減され、サプライチェーンが最適化される可能性があると指摘した。また、ボストン・コンサルティング・グループは今年これまでに出したレポートで、トークン化資産の市場は16兆ドル(約2400兆円)に急成長する可能性があると推定した。

トークン化を通じて暗号資産とTradFiが接近

21.coのアナリストらは、暗号資産は成熟段階を迎えており、伝統的な機関がブロックチェーンを使用してその上にプロダクトを構築するケースは増えるだろうと指摘。「暗号資産は熱狂から相乗効果へ移行しつつある」との見方を示し、「この移行を通じて、暗号資産はますます既存の金融ソフトウェアと統合されるようになり、トークン化を通じて現実資産がオンチェーンにもたらされるようになる」と述べた。

2030年までのトークン化資産市場規模の予測(21.co)

現在、21.coはトークン化資産の市場規模を約1160億ドル(約17兆4000億円)と評価している。内訳は、スマートコントラクトネットワークのイーサリアム(ETH)が600億ドル近くで、トロン(TRX)とソラナ(SOL)がそれに続く。

レポートによると、デジタルドル(ドル連動型ステーブルコイン)は「トークン化実装の最初の成功例」であり、トークン化資産の97%を占めるという。

アナリストらによると、米国債などの他のトークン化資産タイプは今年450%以上の伸びを記録した。こうした伝統的な金融商品の利回りの急上昇が成長を加速させ、分散型金融(DeFi)融資市場で受け取ることのできる利回りを上回った。

21.coは、この成長にもかかわらず、規制上の制限や標準化されたプロセスの欠如、インターネット普及率の低さなどの社会経済的状況が、トークン化された現実資産の広範な、世界規模でのアクセスを妨げる要因となっていると述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:21.co
|原文:Krisztian Sandor