- ビットコインは、世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)の現物ビットコインETF申請を米証券取引委員会(SEC)が承認したというフェイクニュースで一時7%上昇して3万ドルに達したが、その後下落した。
- あるアナリストチームは、実際に承認されればさらに大きな価格上昇が起きる可能性があるとしたが、別のチームは承認は織り込み済みとの見方を示した。
- エニグマ・セキュリティーズは、現物ETFの承認で価格が急騰した場合、「事実で売る」イベントになる可能性があると指摘した。
現物ビットコインETF(上場投資信託)の承認に関するフェイクニュースを受けた16日のビットコイン(BTC)の暴騰は短命だったが、アナリストらは、実際に承認されたときに市場がどのように反応するかの予行演習となったと分析している。
完全に織り込み済みではないとの見方
暗号資産市場分析会社K33 Researchのアナリストらは、「ETFのフェイクニュースに対する激しい値動きは、現物ETF申請に対する決定的な判断が出た際に何が起こるかをタイムリーに思い出させる役割を果たしている」と指摘した。
K33 Researchはレポートで、フェイクニュースが出た後の8分間でビットコインが2万8000ドル弱から3万ドル(約450万円、1ドル150円換算)まで7%急騰したと指摘。また、6月中旬にブラックロックが現物ETFを申請した後の1週間でビットコインが14%上昇したことにも着目した。
K33 Researchは、「承認されれば、この両方を超える市場の反応が起きると予想している」とし、逆に却下されれば「市場は混乱する可能性が高い」との見方を示した。
投資調査会社アスガルド・マーケッツ(Asgard Markets)の共同創設者であるアレックス・クルーガー(Alex Krüger)氏は16日にX(旧ツイッター)で、たとえ承認がおおむね予想されていたとしても、完全に価格に織り込まれているわけではないことが市場の反応からわかると指摘。「ETFがすでに織り込み済みだと考えている人は間違いであることが証明された」とし、「承認されれば、日次で20%の上昇が期待できる」と述べた。
価格上昇の弱さを指摘
ニュースレター「The Bitcoin Layer」の著者であるジョー・コンソルティ(Joe Consorti)氏とニック・バティア(Nik Bhatia)氏は、最近の非常に低いボラティリティ(特に上昇時のボラティリティ)を考慮すると、16日に強気派が興奮したのは驚くべきことではないとしながらも、この上昇を「貧弱なポンプ」と呼んだ。
両氏は、「我々が経験したのは、ビットコインの日中の価格上昇というまったくありきたりなもので、リスクオンになっていればほかの日でも起きる可能性がある」とし、「これは、現物ETF承認によるお祭り騒ぎと価格上昇の多くがすでにビットコイン価格に織り込まれていることを示している」と述べた。
両氏は、ビットコインは依然としてリスク資産であり、金利上昇が市場の低迷局面につながる可能性が高いため、承認によって現物ETFへの資金流入が急増するとは予想していないと念押ししている。
「事実で売る」イベントになる?
機関投資家向け暗号資産会社のEnigma Securitiesは18日の市場レポートで、ビットコインのフェイクニュースはどちらかと言えば、市場参加者が現物ビットコインETFにいかに執着しているかを浮き彫りにしたと指摘した。
Enigma Securitiesのリサーチ責任者であるジョー・エドワーズ(Joe Edwards)氏は、「プラスの材料という点では、現物ETFがビットコインにとって唯一の重要な要素であるという状態に近い」とし、「その重要性を過小評価することはできない。月曜日の価格動向が示したように、買う機会を待っている資金がたくさんある」と述べた。
エドワーズ氏は一方で、ETF承認は、実際のニュースが出たときに「事実で売る」イベントになる可能性が高く、ビットコイン価格は最初に急上昇し、その後しばらく下落する可能性があると指摘。「ニュースを受けて市場は大きく上昇すると考えがちだが、その後容易に下落する可能性がある」とし、「ここでの市場アクセスのメリットは、5分や数日ではなく、5年にわたって持続する」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:Spot Bitcoin ETF Approval Might Be Near, but Analysts Differ on Possible BTC Price Reaction