弱気相場は開発のための時期。長引く低迷を乗り切った企業は、次の強気相場がいつ来ようとも、それを活かせるようなポジションを築くことができる。こうした競争的な準備プロセスを通じて、前回のサイクルでは最先端であった機能が次のサイクルでは手持ちの投資資金となる。
暗号資産(仮想通貨)取引所にとって、暗号資産の売買を取り扱うだけではもはや十分ではない。特にDeFi(分散型金融)の台頭を考えると、取引所は単なる資産市場のままではいられない。取引所は金融全体へのポータルを構築することが求められている。
Z世代の新しい投資スタイル
暗号資産に慣れ親しみ、資金運用に貪欲なZ世代が大人の仲間入りをするなか、チャンスは非常に大きい。
FINRA財団(FINRA Foundation)とCFA協会(CFA Institute)が5月に発表した調査によると、Z世代の投資家の44%が暗号資産を購入して投資を始めた。株式から始めたのは32%、ミューチュアルファンドは21%だった。
さらに、Z世代投資家の65%が金融アプリを使用し、そのガイダンスに注意を払っている。「アプリから提案を受けたことがある人のうち、67%がその提案に影響されて特定の投資、取引、購入を行ったと回答している」。
■Z世代における投資アプリの提案とその影響
インベストメント・アズ・ア・サービス
「インベストメント・アズ・ア・サービス」としての暗号資産プラットフォームは、バンガードのようなTradFi(伝統的金融)大手が提供するキュレーションされた体験からヒントを得ることで、次世代を資産形成の本拠地へと迎え入れることができるだろう。
フランクリン・テンプルトンのサンディ・カウル(Sandy Kaul )氏は先日、このビジョンを要約して次のように語った。
「キャッシュ(現金)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、暗号資産(仮想通貨)、ステーブルコインに分散させることができる。投資は、トークン化された証券(セキュリティ・トークン、あるいはデジタル証券)、ファンドなどで構成できる。負債はトークン化された債務として表現し、貴重品、収集品はトークン自体に証書や保険証書などの契約文書が埋め込まれたNFTとして表現できる」
残念ながら、この分野への初期の進出は、アメリカ政府からの異議によって阻まれてきた。アメリカの暗号資産取引所は、かつてのGemini Earnプログラムのような負債ベースの利回りサービスや、クラーケン(Kraken)の禁止されたステーキングサービス、コインベース(Coinbase)の苦境にある同等のサービスのような個人投資家フレンドリーなステーキングサービスを提供できなくなった。
インデックスという方法
しかし、コンプライアンスに沿った方法もある。それは、米証券取引委員会(SEC)と積極的に協力し、分別管理口座のようなツールを含む強固なカストディパートナーシップに頼ることである。
多額のデジタル資産バスケットに顧客資金を混ぜることは、原資産を証券化することになるためNG。しかし、インターネットアドバイザー登録によって普及したインテリジェントで自動化されたダイレクト・インデックス商品は規制当局に浸透してきた。
こうしたダイレクト・インデキシング・プラットフォームは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を超えるロングテールのデジタル資産の広範な普及のための次なるステップだ。
私はメソディック・キャピタル・マネジメント(Methodic Capital Management)の経営陣の次の意見に同意する。
「インデックスは、効率的な資産配分、リスク管理、商品開発、パフォーマンス測定を可能にする。インデックスがなければ、暗号資産は機関投資家の金融市場へと進化することはできない」
アドバイザーは、Web3の簡素化、顧客資産の管理、オンチェーンプロトコル、商品、分散型アプリの必然的な普及による利回りの最大化において極めて重要な役割を果たすだろう。ここでも、メソディック・キャピタル・マネジメントの次の指摘は的を得ている。
「アメリカで欠けているのは、プルーフ・オブ・ステーク報酬率など、暗号資産市場のより微妙で差別化された側面を捉える規制上のサポートとインデックスの採用だ」
我々は、アメリカの規制当局が我々を助け、単純な現物ETFを超えた明確なガイドラインを作ってくれることを望んでいる。しかし、そのようなガイドラインがあってもなくても、イノベーションは生まれていくだろう。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Investment as a Service: Table Stakes for the Next Crypto Cycle