SECのゲンスラー委員長、ビットコインETFの今後について語らず──対グレイスケール訴訟で敗北

米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は25日、現物ビットコインETF(上場投資信託)に関するSECの計画についての概要を明らかにすることを拒否した。グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)によるグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)のETF転換申請を却下したことを取り消すよう裁判所が命じたことを受けて、SECは今後の進め方を決定する必要がある。

SECのスタッフが対応予定

ゲンスラー委員長はワシントンで開催された証券執行フォーラムのイベントでCoinDeskの質問に答え、「スタッフが対応することだ」とコメント。5人の委員からなる委員会にSECのスタッフが勧告を行う前に状況を事前に判断するのではなく、「成り行きに任せる」と述べた。申請が検討されるタイミングや順序についての質問には答えなかった。

グレイスケールを含め業界は現在、SECがグレイスケール・ビットコイン・トラストのETF転換を却下したことを取り消す裁判所命令を受けた結果を待っている。フィデリティ(Fidelity)やブラックロック(BlackRock)などの大手金融会社も同様にETFを申請をしており、SECが検討中の現物ETFの申請にどのようにアプローチするのかを知りたがっている。

ゲンスラー委員長はこの日、SECが複数の暗号資産企業に対して進めている他の訴訟についてもコメントを拒否。「これらの暗号資産取引所の案件をそれぞれ自分の立場で話させるつもりだ。法律家が判断する」と述べた。

暗号資産業界への批判を繰り返す

ゲンスラー委員長はSECの執行についてスピーチするためにこのイベントに来ていたが、その発言には暗号資産業界への批判が多く含まれており、頻繁に「コンプライアンス違反が蔓延している」とのフレーズを繰り返した。その話題について質問されると、ゲンスラー委員長は、相対的な規模にもかかわらず、どれだけの暗号資産が消費の主体となっているかについて言及した。

ゲンスラー委員長は、「我々の資本市場は110兆ドル(約1京6500兆円、1ドル150円換算)規模だ」とし、「世界規模での暗号資産は1兆ドルかもしれないが、アメリカではそれよりも少ない。つまり、それだけでアメリカの資本市場の1%にも満たないことになる」と述べた、

イベント会場の外で、ゲンスラー委員長は暗号資産取引所FTX崩壊に関する最近出版された本「Number Go Up」の著者ジーク・フォックス(Zeke Faux)氏と会話した。フォックス氏はゲンスラー委員長に対し、暗号資産業界でよく使われる煽り文句の「Have Fun Staying Poor(貧乏なままでいることを楽しんで)」を書き込んだ本を贈った。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:SEC’s Gensler Won’t Say What’s Next With Bitcoin ETFs After Grayscale Loss