ビットコインのドミナンスが30カ月ぶり高値──現物ETF承認に期待
  • ビットコインのドミナンスは54.4%に急上昇し、2021年4月以来の最高値になった。
  • アナリストは、現物ETFとセーフヘイブンのナラティブにより、ビットコインのパフォーマンスはアルトコインを上回っていると指摘した。

ドミナンスは2021年4月以来で最高

ビットコイン(BTC)がほとんどのアルトコインのパフォーマンスを上回る状況が続く中、暗号資産市場でのビットコインのシェアを示すドミナンスは25日、30カ月ぶりの高水準に上昇した。

トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、ビットコインのドミナンスは54.4%に急上昇し、荒れた強気相場だった2021年4月以来の最高値となった。ドミナンスが50%を超えるということは、ビットコインの時価総額が他のすべての暗号資産の時価総額の合計よりも大きいことを意味する。

ドミナンスは6月中旬にレンジを抜け出すまで、ほぼ2年間39%から49%の間で推移していた。レンジブレイクは、世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)がアメリカで現物ビットコインETF(上場投資信託)を申請したとのニュースを受けてビットコインが3万ドル超に上昇したタイミングで起きている。

米証券取引委員会(SEC)が最終的に申請を承認することがほぼ確実視されており、新たな需要が生じる可能性があるため、デジタル資産への投資環境では依然としてこのナラティブ(ストーリー)が広まっている。

サイクルの初期段階で上昇する傾向

市場アナリストでニュースレター「Crypto Is Macro」の著者であるノエル・アチェソン(Noelle Acheson)氏によると、ビットコインのドミナンスの上昇は、暗号資産の市場サイクルと、イーサリアム(ETH)を含むアルトコインに比べて低リスクの資産としてのビットコインの魅力によって説明できるという。

アチェソン氏は25日、「ビットコインは1つのサイクルの初期段階で暗号資産市場をリードする傾向がある。投資家がより安心してリスクカーブから外れ、より小規模な暗号資産がパフォーマンスで追い越したときにのみドミナンスを失う」と述べた。

さらに、「ビットコインにはETFとセーフヘイブンのナラティブが追い風となっている」とし、「イーサリアムには規制による冷え込みとアップグレードの不確実性が逆風となっている」と指摘した。

対イーサリアムで2021年5月以来の高値

CoinDeskのデータによると、ビットコインは過去1カ月で32%上昇した。一方、イーサリアムは12%しか上昇せず、対ビットコインでのレートは2021年5月以来の水準に近づいている。

より広い期間で比較すると、パフォーマンスの差はさらに顕著になる。ビットコインの今年の上昇率は100%だが、イーサリアムは約50%だ。

ビットコインの強気の勢いは、アルトコイン上昇の前兆となる可能性がある。

暗号資産レンディング会社Lednの最高投資責任者(CIO)であるジョン・グローバー(John Glover)氏は電子メールで、「歴史的に、ビットコインの価格が上昇すると、その資金がアルトコインへと移行し始める」と指摘。「これは、1つまたは複数の現物ETFの発売が、暗号資産エコシステム全体で次の大きな強気相場につながる可能性が非常に現実的であることを意味する」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:TradingView
|原文:Bitcoin Dominance Hits Fresh 30-Month High as Ether, Altcoins Lag in Rally