信託およびカストディサービスプロバイダーのレガシー・トラスト(Legacy Trust)は、機関投資家グレードの仮想通貨カストディソリューションに特化した新会社を立ち上げた。
新会社「ファースト・デジタル・トラスト(First Digital Trust)」は、独自のパートナーシップや株主を持つ別組織として、レガシー・トラストの既存のデジタル資産カストディ部門を成長させる役を担う。
2019年9月11日(現地時間)のプレスリリースによると、これによってレガシー・トラストは「伝統的な信託および年金事業に集中、一方、ファースト・デジタル・トラストにはデジタル資産カストディの提供を革新する柔軟性を与える」ことが可能になる。
ファースト・デジタル・トラストの幅広い目標について、同社COOで、レガシー・トラストのデジタル資産部門の責任者でもあるガンナー・イェルヴ(Gunnar Jaerv)氏は以下のように語った。
「レガシー・トラストは、我々が今、ファースト・デジタル・トラストとしてスピンアウトさせたデジタル資産ビジネスを発展させるための完璧なインキュベーターだった。我々は信頼を欠いているこの分野に比類ないレベルの体験をもたらし、コンプライアンスの業界標準とデジタル資産カストディにおける透明性の確立を目指す」
レガシー・トラストにはすでに、ビットコイン、およびイーサリアムをベースとしたERC-20トークンのための機関投資家向けカストディソリューションの提供において確かな実績がある。9月はじめには、参加企業と自営業者向けの仮想通貨ベースの年金プランの提供も発表した。
レガシー・トラストの既存の仮想通貨カストディソリューションはすべて、ファースト・デジタル・トラストに移行される。ファースト・デジタル・トラストは現在、香港政府にライセンスを申請中。
新たにファースト・デジタル・トラストの取締役兼CEOに任命され、レガシー・トラストのCEOを務めるビンセント・チョック(Vincent Chok)氏は、同社は11月後半から12月までには、香港の規制を完全に遵守し、ライセンスを取得した企業になると予測している。
新会社の当面の計画についてチョック氏は、ファースト・デジタル・トラストは顧客に仮想通貨カストディアンとしてのソリューションだけではなく、仮想通貨資産を他の資産クラスへと交換、売却するサービスも提供していくと述べた。
チョック氏は以下のように語った。
「我々のテーマはカストディを超えること。顧客がビットコインを預け入れたら、そのビットコインを他の資産クラスに交換することができる。例えば、まずは法定通貨へ。それから我々は、お客様の信託アカウントでお客様のために不動産を購入することもできる。株式を購入することもできる。仮想通貨から出発して、極めて異なる資産クラスへと展開していくことができる」
そうしたことから、レガシー・トラストは、ローンチから3年以内に、ファースト・デジタル・トラストが保管するデジタル資産は280億ドル(約3兆円)相当にのぼると想定している。
そうした成長プランを推進するために、ファースト・デジタル・トラストは今後数カ月で、ベンチャーキャピタルファンドから1500万ドル(約16億円)の資金調達を検討している。
「業界が急速なペースで発展を続ける中、我々は規制や資産の変化に遅れないよう、機敏さを保つ必要がある」とチョック氏は述べた。
「レガシー・トラストは常に信頼できる、安全なサービスの提供に自信を持ってきた。これをファースト・デジタル・トラストという新しい会社で発展させていくことを楽しみにしている」
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Vincent Chok at Invest: Asia image via Christine Kim for CoinDesk
原文:Legacy Trust to Launch Independent Crypto Custody Business