台湾は暗号資産(仮想通貨)の規制に向けて最初の一歩を踏み出し、暗号資産法案を立法院に提出して第一読会を行った。
暗号資産管理条例草案は、暗号資産の定義、資産運用者の運用基準の設定、顧客保護の確保、業界団体への加入や規制許可の義務付けなどを求めている。
台湾ではこれまで、この分野には手を出さず、自由放任主義的なアプローチをとっており、既存の顧客管理法とマネーロンダリング防止法に基づいてのみ規制してきた。昨年11月に暗号資産取引所FTXが破綻した後に規制プロセスが加速したのは、同プラットフォームが現地の銀行に比べて有利な米ドル金利で台湾人に人気があったからだ。
近隣の香港の暗号資産規則とは異なり、法案はデリバティブやステーブルコインについて強い立場をとっていない。しかし、暗号資産に関連するデリバティブは、伝統的な金融規制と完全に一致しない可能性があるユニークな特性(永久契約が具体的に言及されている)を持っていることを認めており、後の暗号資産デリバティブ固有の規制への扉を開いている。
また、暗号資産の取引をプロの投資家に限定してはいない。
また、現地で認可された取引所にはカストディアンの利用を明確に義務付けている日本とは異なり、法案では顧客資産と事業資金の分離を義務付けているに過ぎず、第三者のカストディアンの利用を明確に義務付けてはいない。
同法案では、取引所の運営者に対し、その業務や管理資産について会計士から定期的に報告を受けることを義務付けている。また、金融監督管理委員会(FSC)のような規制当局が内部統制や監査システムを定期的に検査できるようにすることも求めている。
この法律の草案では、準備金の証明については特に言及されていないが、規制当局が業界と協議した上で資産比率の基準を設定し、認可を受けた取引所がそれを遵守することを期待するとしている。
台湾の暗号資産業界の関係者は以前、正式な規制による監督を歓迎すると述べていた。
台北を拠点とするフィンテック企業のXREXの共同設立者兼CEOであるウェイン・ホアン(Wayne Huang)氏は以前米CoinDeskに、「我々の次のステップは、暗号資産サービスプロバイダー業界がFSCと協力して規制業務を定義することだ」と述べている。
法案の第二読会はまだ予定されておらず、FSCはそれまでに追加の書類を提出する見込みだ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Taiwan Crypto Regulation Gets Going With First Reading of Digital Asset Bill