- 米司法省は、証券詐欺事件をめぐりセーフムーンのCEOと最高技術責任者（CTO）を勾留しているが、開発者のカイル・ナジ氏の捜索は継続している。
- 米証券取引委員会も、セーフムーンが無登録証券を提供した件を追及している。
米司法省（DOJ）は、投資家に対する大規模な詐欺を行った容疑で、暗号資産会社セーフムーン（SafeMoon）の幹部らを逮捕、起訴した。米証券取引委員会（SEC）も1日、同じ件で提訴を行っている。
CEOとCTOが逮捕、開発者は逃亡中
司法省によると、セーフムーンのジョン・カロニー（John Karony）CEOと最高技術責任者（CTO）のトーマス・スミス（Thomas Smith）氏が逮捕され、開発者のカイル・ナジ（Kyle Nagy）氏は逃亡中だという。SECの提訴で詳述されている通り、当局は、セーフムーンの幹部らがプロジェクトから2億ドル以上（約300億円、1ドル150円換算）を引き出し、投資家の資金を私的に流用したと主張している。
ニューヨーク州東部地区のブレオン・ピース（Breon Peace）連邦判事は、「申し立てのとおり、被告らは故意に投資家を欺いたほか、強欲なスキームを推進したり、カスタムのポルシェスポーツカーなどの高級車や不動産を購入して私腹を肥やしたりするために数百万ドルを流用した」と述べた。
「Safemoon Dev」として知られるナジー被告（35）、「CPT_HODL_T_MUN」として知られるカロニー被告（27）、「papa」として知られるスミス被告（35）は、証券詐欺の共謀、電信詐欺の共謀、マネーロンダリングの共謀の罪で起訴された。司法省は一例として、スミス被告が自分用にポルシェ911を購入するためにトークンを流用したと主張した。
セーフムーンが発行する暗号資産セーフムーン（SFM）は1日に30％以上下落した。
CoinDeskは、セーフムーンのWebサイトや被告らのソーシャルメディアアカウントを通じて被告らに連絡を取ろうとしたが、返信はなかった。
SECから証券法違反でも提訴
被告らは刑事告発される一方で、SECから証券法違反でも提訴された。
SEC執行部門の暗号資産・サイバーユニット（CACU）の責任者であるデビッド・ハーシュ（David Hirsch）氏は、「未登録での商品提供には、法律で要求されている情報開示や説明責任がなく、カイル・ナジ氏のような詐欺師が集まる。詐欺師はこうした脆弱性を利用して、他人を犠牲にして私腹を肥やそうとする」と述べた。SECはさらに、3人全員を「暗号資産証券の未登録の販売を通じて大規模な詐欺スキームを実行した」として告発した。
SFMも流用した疑い
SFMは、前回の強気市場の最盛期だった2021年にローンチされたミームコイン。開発チームは、ステーキングされた資金は流動性プールに「ロック」されるとユーザーに対して約束したが、SECは「流動性プールの大部分は一度もロックされていなかった」とし、幹部らが住宅や旅行、高級車の購入に資金を使用したと主張した。
ニューヨーク州東部地区連邦地方裁判所での起訴状では、スミス被告は2021年4月に投資家に対し、「ソフトウェアエンジニアなので」自身ではSFMを保有していないと明言し、「CTOとしての私の意思決定が、そうした行為による金銭的利益によって影響を受けるような状況を作りたくない。だからこそ自分のために分離を行ったのだ」と述べたとされている。
SECによると、セーフムーンのチームは、ロックされた資産でSMFを大量購入して価格をつり上げ、市場を操作した疑いもあるという。
司法省によると、幹部らは個人的にSFMを保有していることを否定したが、自らの利益のためにSFMの取引を繰り返し、プライベートなアンホステッド・ウォレットや偽名の取引所アカウントを通じて収益を隠しながら数百万ドルの利益を生み出したという。
｜翻訳・編集：林理南
｜画像：Jesse Hamilton/CoinDesk
｜原文：SafeMoon Execs Arrested by DOJ in Fraud Investigation, Charged by SEC
