バイナンス、セルフカストディWeb3ウォレットをリリース

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は、分散型金融(DeFi)エコシステムとのやりとりに使用できるWeb3ウォレットをリリースした。

30のブロックチェーン・ネットワークで動作するこの新製品はイスタンブールで開催されたバイナンス・ブロックチェーン・ウィーク(Binance Blockchain Week)で発表された。

「Web3ウォレットは単にデジタル資産を保管するだけではなく、Web3フレームワークの不可欠な部分であり、自己主権金融の力を個人に与えるものだ」とバイナンスの創業者兼CEOの「CZ」ことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏は述べた。

バイナンスのWeb3ウォレットは、2018年にバイナンスが買収したメタマスク(MetaMask)やトラスト・ウォレット(Trust Wallet)と競合する。バイナンスは今週初め、トラスト・ウォレットのネイティブ・トークン(TWT)を先物市場に上場している。

コインベース(Coinbase)やOKXといった他の競合する中央集権型取引所もWeb3ウォレットをユーザーに提供している。

ユーザーはバイナンスのモバイルアプリを通じてウォレットを作成することができ、ステーキングや貸し借りといったDeFi活動の場としても機能する。ユーザーがウォレットを作成するために、KYC(本人確認)の手続きを行う必要があるかどうかは現在のところ不明だ。

Web3ウォレットはハッカーや悪用者の主な標的であり、ハッカーによって秘密鍵が入手されると、すべての資金が不可逆的に流出する可能性がある。

バイナンスは、セキュリティとセルフカストディの利点を損なうことなく、ユーザーがシード・フレーズを記憶する必要性を排除するマルチ・パーティ・コンピュテーション(MPC)により、これを改善したいと考えているという。MPCでは、秘密鍵がキーシェアと呼ばれる3つの部分に分割され、3つのキーシェアのうち2つがウォレットの所有者によって管理される。

「最終的には、ユーザーフレンドリーかつ保護された環境の中で、ユーザーが我々と一緒にWeb3を探索できるようにすることが我々の優先事項だ」とCZは付け加えている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk
|原文:Binance Rolls Out Its First Ever Self-Custody Web3 Wallet