暗号資産(仮想通貨)取引所ポロニエックス(Poloniex)がホットウォレットをハッキングされ、推定約1億1400万ドル(約171億円)の損失を被った。複数のオンチェーンデータで判明した。
複数のウォレットに被害
ハッキングの疑いは、協定世界時(UTC)10時55分ごろにブロックチェーンセキュリティ企業のペックシールド(Peckshield)とサイバース(Cyvers)によって報告された。ポロニエックスはその12分後、メンテナンスのため取引所のウォレットが利用できなくなったと発表した。その後、ポロニエックスの投資家ジャスティン・サン(Justin Sun)氏がX(旧Twitter)で、このハッキングが起きたことを認めた。
複数のブロックチェーンのさまざまなウォレットが標的になっていたようだ。Arkhamのデータでは、現在「ポロニエックスのハッカー」とタグ付けされているイーサリアムのウォレットが、357回のトランザクション(取引)で合計1億1400万ドル相当の暗号資産をポロニエックスから送金したことが示されている。トロン(Tron)ブロックチェーン上のウォレットも、約4200万ドル(約63億円)をさまざまなウォレットに送金した。
ポロニエックスは老舗の暗号資産取引所
ポロニエックスは2013年に設立され、最も長く運営されている暗号資産取引所の1つ。2018年にサークル(Circle)に買収され、その後ジャスティン・サン氏を含む数人の投資家に対して分社化された。サン氏は、直近で行われた2019年の買収に参加したことを明らかにしていた。
CoinMarketCapによると、ポロニエックスは過去24時間で6億1600万ドル(約924億円)相当の取引高を記録したが、会社の準備金は確認できない。比較としては、大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)の準備金は193億ドル、唯一の上場取引所であるコインベース(Coinbase)は30億ドルだ。
暗号資産取引所はよくハッカーの標的にされている。2カ月前にはHTXがハッキングされ、総額800万ドル相当のイーサリアム(ETH)が流出した。韓国の取引所Gdacは4月に1300万ドルを、Deribitは昨年11月のホットウォレットハッキングで2800万ドルを失った。
オンチェーンデータはまた、ポロニエックスのハッカーが2000万ドル相当のトロン(TRX)を購入し、価格を25%以上押し上げたことを示している。
ポロニエックスが全額払い戻しの予定
ブロックチェーン分析会社ナンセン(Nansen)の報告によると、ポロニエックスのウォレットには総額1万ドル相当の暗号資産がわずか175枚が残っていたという。
サン氏は、「我々は現在、ポロニエックスのハッキング事件を調査している」とツイート。「ポロニエックスは健全な財務状況を維持しており、影響を受けた資金は全額払い戻される予定だ。さらに、これらの資金の回収を促進するために、他の取引所と協力する機会を模索している」と表明した。
サン氏は、法執行機関と連携するまでの7日間を期限として5%のホワイトハット報奨金を提供することを明らかにした。
サン氏は10日遅くにXで、ポロニエックスが「ハッカーのアドレスに関連する資産の一部を特定し、凍結することに成功した」とツイート。「現時点では損失は管理可能な範囲内にあり、ポロニエックスの営業収益でこれらの損失をカバーできる」と説明した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Towfiqu Barbhuiya/Unsplash
|原文:Poloniex Hot Wallets Hacked With $114M Seemingly Stolen: On-Chain Data