金融機関のホールセール決済をトークン化する英フィンテックのFnality Internationalは、米投資銀行のゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)と仏銀大手BNPパリバ(BNP)が主導した資金調達ラウンド(シリーズB)で9500万ドル(約143億円、1ドル150円換算)を調達した。
ラウンドには、米金融市場で証券の中央管理を担うDTCC、欧州の主要証券決済機関であるユーロクリア(Euroclear)、野村ホールディングス、ウィズダムツリー(WisdomTree)が参加。他にも、2019年に6300万ドルの資金調達を支援した多くの銀行──サンタンデール銀行(Banco Santander)、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)、バークレイズ(Barclays)、カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)、コメルツ銀行(Commerzbank)、INGグループ、ロイズ・バンキング・グループ、ナスダック・ベンチャーズ、資産管理大手 State Street(ステート・ストリート)、三井住友銀行、UBS銀行──も加わった。
最近、パーミッションドブロックチェーン、あるいはイーサリアムのようなパブリックブロックチェーンを使った伝統的金融資産のトークン化が注目を集めている。
かつて「ユーティリティ・セトルメント・コイン(Utility Settlement Coin:USC)として知られていたFnalityは、共有台帳を使用したホールセール・バンキングでのDVP(Delivery Versus Payment)決済の実現に向けて、現金をブロックチェーン上に持ち込むという点においては古株的な存在となっている。
Fnalityのロマイオス・ラム(Rhomaios Ram)CEOは、今回の資金調達ラウンドについて「ホールセール市場におけるTradFi(伝統的金融)とDeFi(分散型金融)のギャップを埋める、中央銀行の資金に裏付けられたブロックチェーンベースの決済ソリューションに対する金融セクターからの強い要望が表れている」と述べた。
ゴールドマン・サックスのデジタル資産部門責任者マシュー・マクダーモット(Mathew McDermott)氏は、Fnalityを成長するトークン化トレンドにおける「キーイネーブラー」と呼び、「Fnalityのブロックチェーン技術は、金融機関が中央銀行の資金を即時決済、クロスボーダー決済、クロス通貨決済、担保移動、および証券取引といった幅広い潜在的なユースケースで活用するための弾力的な手段を提供する」と述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN編集部
|編集:水野公樹・増田隆幸
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|原文:Tokenized Cash Fintech Fnality Raises $95M Led by Goldman and BNP Paribas