米金融大手のJPモルガンとアポロは、ブロックチェーンを使ったファンドのトークン化について、複数のブロックチェーン企業と連携し、「概念実証(PoC)」に成功したと発表した。
リリースによると、JPモルガンのブロックチェーン基盤「Onyx Digital Assets」は、相互運用性レイヤーのAxelar、インフラプロバイダーのOasis Pro、Provenance Blockchainと連携して、大規模な顧客ポートフォリオの管理、取引の実行、トークン化資産の自動的なポートフォリオ管理を実現したという。
PoCには、他にも相互運用プロトコルのLayerZero、アバランチ(Avalanche)ブロックチェーンの開発元であるアバラボ(Ava Labs)、Web3開発会社のBiconomy、資産運用会社のウィズダムツリーが参加した。
プロジェクト・ガーディアンの一環
この取り組みは、シンガポール金融管理局(MAS)が伝統的金融機関とともに主導し、DeFi(分散型金融)を活用して新たなチャンスと潜在的リスクを探る「プロジェクト・ガーディアン(Project Guardian)の一環。プレス発表は、シンガポールでのフィンテック・フェスティバルで行われた。
デモンストレーションではまた、資産運用会社が複数のチェーンにまたがるトークン化資産を購入し、リバランスすることも示された。
「我々の目標は、資産クラス、あるいは資産が管理・記録されている場所にかかわらず、パーソナライズされた拡張性の高いポートフォリオを通じて、アセットマネージャーやウェルスマネージャー、投資家に大きな効率性をもたらし、より良い結果を実現するソリューションを創造することだ」とOnyx Digital Assetsの責任者タイロン・ロバン(Tyrone Lobban)氏はリリースで述べた。
多くの伝統的金融機関がブロックチェーン業界への関心を高めている。今年に入り、チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)、シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)などの金融大手は、暗号資産取引所EDX Marketsの立ち上げを発表した。
機関投資家向け相互運用ソリューション
OnyxはAxelarのネットワークを使い、このプロジェクトで使われたプライベート・ブロックチェーンであるProvenance Blockchain Zoneとの相互運用性を実現。現実資産(RWA)向けインフラプロバイダーのOasis Proは、Provenance Blockchain Zone上での資産のトークン化を実装した。
「これは、機関投資家向け金融サービスでは初めてのブロックチェーンの相互運用ソリューションだろう」とProvenance Blockchainのアンソニー・モロ(Anthony Moro)CEOは語った。
リリースによると、Provenance Blockchainは160億ドル(約2兆4000億円、1ドル150円換算)以上の取引をサポートし、現在90億ドルのRWAをオンチェーン化している。
またJPモルガンは10月、資産運用大手ブラックロック(BlackRock)と英銀大手バークレイズ(Barclays)が関わった初のブロックチェーンベースの担保決済を行った。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN
|画像:Shutterstock
|原文:JPMorgan, Apollo Tokenize Funds in ‘Proof of Concept’ With Axelar, Oasis, Provenance