- ビットコイン支持派のハビエル・ミレイ氏がアルゼンチン大統領に任命されたことを受け、ビットコインは20日に3万7000ドルを突破した。
- 人工知能(AI)関連の暗号資産セクターは、台頭するAI新興企業の、直接関係するわけではないが重要な進展を背景に8%以上上昇した。
- しかし、一部のトレーダーは、今週の平日後半にかけて流動性の低下が予想されていることから、21日にFRBの議事要旨が発表された後の市場の反応に警戒している。
アルゼンチン大統領選でビットコイン支持派候補が勝利
アルゼンチン大統領選挙でビットコイン支持派のハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏が勝利したことを受け、ビットコイン(BTC)は20日早朝に3万7000ドル(約555万円、1ドル150円換算)まで上昇した。暗号資産市場も過去24時間で2%近く増加している。
無政府資本主義者を自称するミレイ氏はビットコインを支持しており、ビットコインを「お金が本来の創造者である民間部門に戻ってきたもの」と呼んでいる。しかし同氏は、ビットコインを国内で法定通貨にすることは提案していない。
AI関連暗号資産が上昇
人工知能(AI)関連の暗号資産セクターも、台頭するAI新興企業の、直接関係するわけではないが重要な進展を背景に8%以上上昇した。過去1週間で77%上昇していたビッテンサー(TAO)はさらに4.2%上昇した。オーシャン・プロトコル(OCEAN)、フェッチAI(FET)、シンギュラリティNET(AGIX)は過去24時間で16%も急騰し、ビットコインや他の主要アルトコインのパフォーマンスを上回った。
ニア・プロトコル(NEAR)は20%上昇し、ステーキングプラットフォームLidoのリドダオ(LDO)は11%上昇した。
FRB議事要旨や予想される流動性低下
一部のトレーダーは、今週は市場を動かす要因となり得るいくつかのイベントや発表があり、暗号資産にとっては忙しい週になる可能性があるとの見方を示している。
eToroの市場アナリストであるサイモン・ピーターズ(Simon Peters)氏はCoinDeskに宛てたメモで、「FRB(米連邦準備制度理事会)が明日(21日)、市場を動かす傾向がある直近会合の議事要旨を発表する」とし、「こうした議事録は中央銀行の考え方についてより深い洞察を与えるものだ。インフレが鈍化するなか、投資家は金利がピークに達した可能性があるというさらなる確証を求めている」と述べた。
ピーターズ氏はさらに、「同じく火曜日に、エヌビディア(Nvidia)が最新の決算を発表する。同社は『ピック&ショベル(ツールを販売する)』戦略を行っているため、投資家にとってはAI革命の象徴となっている。暗号資産は同社の発表に反応する可能性が高い」と指摘した。
また、ピーターズ氏は、アメリカの金融市場が24日に感謝祭で閉場し、ブラックフライデーで年末商戦が始まるため、週末にかけて流動性が低下すると警鐘を鳴らした。取引量が少ないと、市場にボラティリティが生じる可能性がある。
2024年上半期の利下げ開始に疑問も
FxProのアナリストであるアレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏は20日のメモで、トレーダーはFRBが今後数カ月以内に利下げを発表すると予想しているが、そのような動きは金融市場がまず先に大きな打撃を受けた場合にのみ起こり得ると述べた。
カプチケヴィッチ氏は、「FRBは通常、リスク選好の低下を背景に市場の大幅な調整が始まった後にのみ利下げサイクルを開始する」とし、「2024年上半期の利下げは、債券市場と株式市場に深刻な混乱が起きた場合に限り行われる可能性がある」と指摘した。
カプチケヴィッチ氏は一方で、金融市場全体が下落すれば、ビットコインが「新たな強気サイクルに入る前に3万ドルを下回ることになる」可能性があると述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Surpasses $37K on Argentina Presidential Election Result as Analysts Focus on Fed Notes