DAO(分散型自律組織)に関する法律のあり方について議論する「DAOルールメイクハッカソン」の第2回目が11月22日、自由民主党本部で開催された。自民党web3PTが4週連続で予定している取り組みの第2回目だ。
1回目同様、まずは日本におけるDAOの現状を把握するために、全国からDAOをベースにさまざまな取り組みを行っている事業者、DAOに関するソリューションを提供している事業者がその取り組みをプレゼンテーション。その後、事業者とweb3PT、さらにはDAOに関心を持つ議員、省庁からの参加者を交えて課題や問題点を議論する形で進められた。
参考記事:税制改革も進めなければ、絵に描いた餅になる──自民党web3PT第1回「DAOルールメイクハッカソン」議事要旨
会場は自民党本部101号会議室。前方には、主催側として自民党デジタル社会推進本部長の平井卓也議員、web3PT座長の平将明議員、同事務局長の川崎ひでと議員、そしてプレゼンテーションを行う事業者として、ODKソリューションズ、ソニー、ブロックチェーン推進協会(BCCC)、シビラ、pNounsDAOの方々が並んだ。さらに複数の議員、web3PT関係者、各省庁からの出席者などが参加した。
川崎議員が開催を宣言した後、平井議員が「バイナンスが大変なことになっているが、日本ではあのようなことは起きない」と22日朝に伝えられたニュースに触れ、日本のweb3はグローバルで見ると「周回遅れの先頭を走っているなどと言われるが、web3を日本の成長産業に位置づけるようと着実に進んでいる。先頭を目指していきたい」と挨拶。
平議員も同様にバイナンスの件に触れつつ、「ひと山越えた感じもする。これからは世界が前向きに動き出すのではないか」と続けた。
以下、各事業者のプレゼンテーションとその後の議論の要旨を紹介する。
ODKソリューションズ
「学びの軌跡」をNFTで可視化することにODKソリューションズは、学生にボランティア実績に応じてNFTを発行する近畿大学の事例や、落合陽一サマースクールでの小学生を対象とした取り組みを紹介した。
ソニー
ソニーは、交通系ICカード等に使われている非接触ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」で培った知見を活用した、NFTの発行・活用、秘密鍵の管理を慣れ親しんだUXで実現する取り組みを紹介。セキュアで使いやすいカードデバイスと紛失時の再発行などのサービスを合わせて提供する実証実験を実施していることをプレゼンテーションした。
ブロックチェーン推進協会(BCCC)
ブロックチェーン推進協会は、未来の研究者の養成と世代を超えた知のネットワーク形成を目的に行っている小中学生を対象としたサマースクールを紹介。卒業証書NFTが毎年開催される同窓会への参加券やSNSへの入室証となっていることを紹介した。
シビラ
シビラは「Web3(DAO含む)を一般消費者へ利用可能とするための技術基盤提供」に取り組んでいることをプレゼンテーション。川崎市(エコに取り組む市民へのインセンティブ提供)やラジオ局とリスナーのコミュニティでの活用事例を紹介した。
pNounsDAO
世界で最も有名なDAOのひとつ「NouusDAO」に、サブDAOとしての参加を目指しているpNouusDAO。1日1体、NFTを完全自動化されたオークションで発行し、売上を活動資金としているNouusDAOの画期的な仕組みや、pNounsDAO独自と取り組みを紹介した。
「ファンジブルトークンを必須としない設計」
各事業者のプレゼンテーションでは、現状、事業者が直面している問題点やDAOのルールメイクについての要望なども挙げられた。今回は、教育分野にDAOを活用しようと取り組む事業者が多かったためか、複数の事業者から「ファンジブルトークンを必須としない設計」という要望があったことが印象的だった。
その他には、1回目と同様に「DAOの法人格」「DAOメンバーの匿名性」「保有するNFTへの課税」などが挙げられ、迅速な法案の成立やDAO特区での試験運用などを求める声もあった。
最後にまとめの挨拶を行った平議員は、DAOルールメイクハッカソンの狙いについて、「ルールを整備したからといって、そのルールに当てはまらないものがすべてアウトということはまったくない。できることは早めにやっていこうという方向性を示すもの」と改めて強調。「この場に限らず、引き続き、意見をいただきたい」と参加者にメッセージを送った。
次回(3回目)は、11月29日に開催予定。
|文・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|資料:自民党web3PT
|写真:CoinDesk JAPAN編集部