CMEのビットコイン・イーサリアム先物で強気のシグナルが発生
  • ビットコインとイーサリアム先物取引における期先物と期近物の価格差が先週、2021年以来の最高水準にまで拡大した。
  • コンタンゴは、市場の強気なセンチメントを示す。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物市場では最近、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)で珍しいパターンが出現し、主要暗号資産(仮想通貨)に対してロングポジションを持つ強い投資傾向が示されている。

コンタンゴが拡大

先物契約は、満期日と呼ばれる将来の特定の日付に、あらかじめ決められた価格で原資産を売買する法的契約だ。通常、先物市場は「コンタンゴ」の状態にある。コンタンゴとは、先物価格が現物価格を上回って上昇することを表す用語で、満期日が近い先物よりも遠い先物の価格が高くなる状態だ。買い圧力が高まると、コンタンゴが拡大することがよくある。

暗号資産市場分析会社K33 Researchのデータによると、ビットコインとイーサリアムの先物も最近同じような状況に陥り、いわゆる「期先物」契約が「期近物」契約に比べて顕著なプレミアムで取引されているが、これは2018年以来の珍しい出来事だ。なお、期近物契約は現在の日付に最も近い満期を持つもので、期先物契約はその次に満期を迎えるものを指す。

K33 Researchのシニアアナリストであるヴェトル・ルンデ(VetleLunde)氏はCoinDeskに対し、「ロングのエクスポージャーを追加したいという強い希望のあるCMEでの非常に強気なセンチメントを物語っており、利回りプレミアムが急上昇している」と説明した。

CME先物のサイズはそれぞれ5BTCと50ETHだ。本記事執筆時点では、満期を迎える12月の契約が期近物、1月の契約が期先物にあたる。11月分は27日にすでに満期を迎えている。

期先物のプレミアム上昇は強気のセンチメントを示している(K33 Research)

ビットコインとイーサリアムの期先物と期近物の週次ロールオーバースプレッドは最近、年換算1.5%まで拡大しており、2021年初旬の強気相場時代以来初めての水準となった。

このパターンはこれまでに4回しか発生しておらず、そのうち3回は強気相場で、1回は2020年3月の新型コロナウイルスによる暴落の数週間前に見られた。

ルンデ氏によると、両市場のコンタンゴは27日に若干縮小したが、引き続き強気のセンチメントを示唆した。

ルンデ氏は、「昨日はコンタンゴのかなりの縮小が見られた。7000BTC相当の建玉が12月限契約でクローズされ、イーサリアムについてはビットコインと同様のパターンが見られた後に先週積み上がった史上最高の想定建玉は消去された」と指摘。「利回りプレミアムは引き続き2桁に相当する。つまり、CMEのセンチメントは引き続き非常に強気だ」と述べた。

ロングポジションが解消される可能性

Pear Protocolの創設者ハフ(Huf)氏はCoinDeskに対し、最近のコンタンゴ拡大は伝統的金融(TradFi)の市場参加者が強気の賭けに出たことに起因すると指摘。「これは、伝統的金融がロングのエクスポージャーを抱えていることを示しているが、現物経由ではない。これは非常に脆弱なポジショニングだ。今後の現物ETFの承認に向けて上昇すると解消される可能性がある」と語った。

ハフ氏は、先物プレミアムの上昇によってベーシス取引やキャッシュアンドキャリー裁定取引への関心が再び高まる可能性があると述べた。この戦略には、現物市場で暗号資産を購入し、同時に先物を売却することが含まれる。この戦略は、2020年から2021年の強気相場で最も好まれた戦略の1つであり、トレーダーは価格変動を回避しながらプレミアムを手に入れることができる。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Wance Paleri/Unsplash
|原文:CME-Listed Bitcoin, Ether Futures Flash a Rare Bullish Signal