ビットコイン先物取引の上限を2倍に──CME、市場成熟の兆候?ビットコイン価格への影響は

シカゴ・マーカンタイル取引所(CMEグループ)は、ビットコイン(BTC)の先物トレーダーに、一度により大きなオープン・ポジションを持たせようとしている。

CMEは、米商品先物取引委員会(CFTC)への書簡の中で、ビットコイン先物の取引制限を引き上げる意向を明らかにした

「この市場には成長の余地がある」

上限は、投資家1人あたり月1000契約から2000契約に引き上げられる。1契約は5ビットコイン(BTC)であるため、トレーダーが扱える量は5000BTC(現在の価格で約5000万ドル相当)から2000契約(1万BTC、1億ドル相当)に倍増することになる。

確かに今、これほど多くのオープン・ポジションを保有しているトレーダーはほとんどいない。7月に、同取引所ではオープン・インタレスト契約が過去最高の約6100件を記録したところ。

しかし、同社はこの市場には成長の余地があると見ており、こうした制限を拡大することを模索しており、これは「大幅な成長と、CMEビットコイン先物市場への支持、およびその基盤となるビットコイン市場の分析に基づいている」と広報担当者は述べた。

CFTCがこの計画に反対しなければ、2019年10月の取引にむけて、9月30日に発効するとCMEのマネージング・ディレクターで主任規制顧問、クリストファー・ボーエン(Christopher Bowen)氏は書簡で述べた。

ビットコイン市場が成熟しつつある兆候

CFTCによると、制限は先物商品を支えるコモディティにおける「過当投機」を防ぐことが目的。

こうした制限がなければ、特定の先物取引に対する過度の投機が原資産の価格を急激に変動させる恐れがある。

「一般的に、市場操作の脅威が存在しない、あるいは非常に低い市場では制限は必要ない」とCFTCのウェブサイトには記されている。

こうしたCMEの取り組みは、ビットコイン市場が成熟しつつあることの兆候であり、またビットコイン先物が以前よりも理解を集めていることの兆候と見ることができる。

計画によると、単月のアカウンタビリティ・レベルは5000契約のまま。つまり、CMEは引き続き、オープン・ポジションが基準値を超えているトレーダーだけを調査することになる。

CME以外の企業も先物取引を提供へ

CMEは2017年末、ライバルのシカゴ・オプション取引所(Cboe)とともに、現金決済による先物取引を開始した。しかし、Cboeは3月、先物市場を閉鎖すると発表、CMEはアメリカでこの商品を提供する唯一の取引所となった。

CMEは現在、アメリカでビットコイン先物を提供している唯一の取引所だが、インターコンチネンタル取引所(ICE)は、傘下のICEフューチャーズUS(ICE Futures US)と子会社バックト(Bakkt)を通じて、今月後半に現物決済による先物取引を提供する計画。他の多くの企業も、現物決済の先物取引や先渡取引を提供しようとしている。

現在、1日の平均取引高は7100件に達し、2019年に入ってから、1200以上のトレーダーがこのプラットフォームに登録している。

「これは、ビットコインの価格リスクを取引し、ヘッジするための新たなフレキシビリティを、顧客、機関投資家、エンドユーザーに提供する、もう1つの方法」と広報担当者は述べた。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Tim McCourt, CME managing director of equity products and bitcoin futures image via CoinDesk archives
原文:CME Seeks to Double Monthly Bitcoin Futures Open Position Limit to 10K BTC