英議員、デジタルポンド保有上限の引き下げを要求──利子の可能性も妨げないように求める
  • イギリス下院財務委員会の議員たちは、政府のデジタルポンド計画に対する懸念を発表した。
  • 特に、個人の保有限度額を計画よりも少なくすることと、利子のつくデジタルポンドを創設することを求めている。
  • イギリスと欧州連合(EU)のこれまでの提案では、中央銀行デジタル通貨(CBDC)は現金のように利子を得るべきではないとされている。

イギリスの議員たちは政府に対し、潜在的なデジタルポンドの保有上限を引き下げることを検討し、その設計が利子を支払う可能性を妨げないことを確認するように求めている。

イギリスとその隣国である欧州連合(EU)27カ国は、提案の中で、リテールデジタル通貨は銀行預金のように利息を得ることを認めるべきではないと述べていた。

12月2日に発表された報告書の中で、イギリス議会庶民院(下院)の財務省委員会の議員たちは、2月に発表されたイギリスの中央銀行デジタル通貨(CBDC)計画について懸念を表明した。政府は、デジタルポンドが将来「必要になる可能性が高い」と述べていた。

世界中の国々が、決済を改善し、中央銀行にデジタル金融を導入する方法としてCBDCを検討している。アメリカはデジタルドルが大騒ぎする価値があるかどうかまだ決めていないが、ヨーロッパでは注目が集まっており、イギリスと欧州連合(EU)がリテール決済向けCBDCの実施計画を提案している。

ユーロのデジタル化を目指すEUの計画は、EUの議員から多少の反発を招いている。イギリスの議員は、銀行からの顧客流出を防ぐためにデジタルユーロの個人保有制限を引き下げるというEUの提案には同意しているようだが、CBDCの利息獲得を阻止し、それによってCBDCを現金と同様に扱うことには同意していないようだ。

「我々は、イングランド銀行と財務省に対し、デジタルポンドへの利払いが金融政策に与える影響についてさらなる分析を行い、それまでの間、設計作業がデジタルポンドへの利払いの可能性を妨げないようにすることを推奨する」とイギリスの議員らは語った。

イギリス財務省のデジタルポンド計画には、「現金や多くの当座預金と同様、デジタルポンドには利子がつかない」と明記されていた。このため、日常的な支払いには便利だが、貯蓄用に設計することは意図されていない。

議員はまた、提案されている1万~2万ポンド(約185万円〜370万円、1ポンド=185円換算)の保有限度額に対して注意を促し、「銀行預金からデジタルポンドへの大規模な資金流出のリスクを軽減するため、時間をかけて引き上げることを視野に入れつつ」、EUの欧州中央銀行が提案している3000ユーロ(約48万円、1ユーロ160円換算)と同等の低い限度額を提案した。

イギリス財務委員会の報告書はEUの議員たちの懐疑的な意見とほぼ同じで、デジタルポンドのメリットが潜在的なリスクを上回るかは不明だとし、デジタルポンドの法律によって、政府が「法執行によって許可される範囲を超えて」決済からユーザーデータを収集することを許すべきではないと警告している。

委員会は「とはいえ、我々は、イングランド銀行と財務省が、メリットが増大し、プライバシーと金融の安定性に対するリスクが軽減されれば、デジタルポンドを発行できるよう、その設計についてさらなる協議作業を行うことを支持する」と述べ、政府とイングランド銀行に対し、デジタルポンド発行の最終決定を下す基準をできるだけ早く詳細に示すよう勧告した。

CBDC発行の決定が保留されていることから、議員らはまた、デジタルポンドの研究・設計にかかる費用について政府の責任を追及し、イングランド銀行と財務省がこれらの費用を把握することを望んでいる。

「発生したコストの透明性を確保するため、イングランド銀行は2024年以降、デジタルポンドに関する支出を年次報告書と会計報告書の別項目として報告すべきだ」と報告書は述べている。

イギリス財務省は、デジタルポンドの提案モデルに関する協議への意見を近く締め切る予定だ。その後、実験と設計の段階を経て、発行の可否が決定される。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:UK Lawmakers Urge Lower Digital Pound Holding Limits